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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 先月から時間があれば池波正太郎先生の 「剣客商売」 全巻をジックリと読み返していたんだが、チョット気になる、つーか、かなり気になる一文を見つけた。シリーズ第三巻 「陽炎の男」 に収録されている第五話 「兎と熊」 で、主人公の秋山小兵衛は物語の30年後、二代目村岡道歩に看取られて生涯を終える、ってな記述がある。秋山小兵衛は享保三年(1718年)生まれ。「兎と熊」の舞台となっているのは小兵衛63歳の天命元年(1781年)だから、没年は文化八年(1811年)で、小兵衛93歳って事になる。

 ところが、シリーズ最終十六巻 「浮沈」 の最終話 「霞の剣」 には、
 「……(略)……田沼意正は新将軍・家斉に気に入られ、やがて、若年寄に取り立てられ、
  さらに、将軍側近の側用人に昇格したそうな。そのころには一橋治済も松平定信も、
  この世の人ではない。秋山小兵衛はどうかというと、まだ、生きていた……(略)」
ってな一文が出てくる。一橋治済も松平定信も実在の人物なので、生没年は明らかなわけだ。なんとなく気になって、チョイとWikipediaで調べてみると、一橋治済の没年は文政十年二月二十日(1827年3月17日)。松平定信の没年は文政十二年五月十三日(1829年6月14日)で、上記の 「秋山小兵衛は、まだ生きていた」 に従うと、享保三年(1718年)生まれの小兵衛は110歳を超えて生きた事になる。

 ここで 「作品設定が矛盾している!」 とか騒ぎ立てる輩は不粋ってモンです。乱暴な言い方をすればだね、剣客商売だって仮面ライダーやウルトラマンと同じエンターテイメント作品なワケですよ。主人公の秋山小兵衛が初期設定よりも長命を保った。この一事をもって慶賀すべきだと思うね。

 すでに作者の池波先生は鬼籍に入られており、小兵衛・大二郎親子、そして孫の小太郎の活躍が語られる事はないが、想像(妄想?)を逞しくして、その後の剣客商売を自分なりに構築してみるのも楽しい。幕末動乱から明治維新の時代、大二郎と小太郎親子はどう生きたであろう……。原作の流れからすれば幕府側についていそうだし、無外流という流派からして、同じ流派の斎藤一(新撰組)なんかとの絡みがあったら面白いね、ってお話でした。

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YASU ・居眠釣四郎・眠釣
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釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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