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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 釣り好きにとって、港湾や防波堤の岸壁構造や航路となる海底の状況、そして海洋環境のモニタリングデータは、「見たい、聞きたい、知っておきたい」対象だ。港湾関係者でもなく、建設関係者でもない釣り人が、なぜ岸壁構造や航路の海底状況や海洋環境データを知っておきたいか――。学術的な興味や好奇心ではなく、「魚が居着く場所や回遊場所、時期」を知る事になるからだ。旧来、釣り人は経験則を基にした"勘働き"で、好ポイントや釣期を判断してきた。その勘働きを裏付ける知識や科学的なデータがあれば、より正確な判断が出来る。

 また、港湾施設のライフサイクルも関心の対象だ。釣り場の主と呼ばれる常連釣り人達は、「ケーソンの継ぎ目が広がってきた」とか、「数年前よりも満潮時の水位が高くなってきているから、地盤沈下しているんじゃないか?」など、実に良く観察している。昨年6月の東京湾第二海堡のように、施設の老朽化や地盤沈下によって完全立入禁止となった好釣り場もある。釣り人にとって、港湾施設の寿命は重大な関心事なのだ。

 過日、中京釣り界の重鎮である金森直治先生から、東京市長・鉄道大臣を務めた永田青嵐(本名:秀治郎)翁の言葉を教えていただいた。釣り人だけではなく、港湾行政、港湾建設に携わる皆様にも知っていただきたいので引用しておく。
 「都会には公園が必要である。市民の衛生と慰安のためだが、公園の設備には随分と金がかかる。しかるに東京市四五十万人の釣り師は、何の設備もない海や川へ竿一本で出掛けている。東京近郊の海や川は皆この多数市民の公園である。(中略)こんな安あがりの公園はない。およそ公園に税金を取るところはない。だから魚釣りに税金をかけるなどは、以てのほかの考え違いである。これはよろしく割引き乗車券でも出して、大いに優待すべきものであると思うている」

 当時は施設によほどの欠陥でもない限り、管理者責任が問われる事はなかった。言葉はあまり良くないが、「ケガと痛みは自分持ち」「レジャーの事故は死んだら死に損」。きれいな言葉で言うなら「自己責任」が、市民に徹底されていた。これもまた、みなとづくりのキーワードとなるのではないか。

-「月刊港湾」'06年4月号掲載稿に加筆修正-

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YASU ・居眠釣四郎・眠釣
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釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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