不景気ダイエット

　食事制限やトレーニングをしつつ、"身の細る思い" もしている。実を言うと、年明けからクライアントの倒産だの夜逃げだのとロクでもない話が続出、次いで支払いの繰り延べ、分割の申し入れ、納品後の "今さら値引き" の依頼やらが続々……。年始の挨拶に行ったら、すでに松は明けているのにシャッターが降りてて、未だに 『謹賀新年』の挨拶札が貼っ……、って、おいッ！　典型的な夜逃げ廃業じゃねーか。元旦に届いた年賀状には、「旧に倍してのお引き立てを」なんて書いてやがったくせに、お引き立てじゃ済まねーよ。居所見っけたら、引っ立ててお白州に座らせてやりてェ！　



　それから 「説明会のお知らせ」 なんてお手紙も見たくないね。「なんの説明会だべェよ？」と封を開けてみると、まぁ、たいがいは会社更生法適用についての説明会のお知らせなワケですよ。倒産してんじゃーん！　こんな修羅場や土壇場は何度も経験してきてはいるが、今回はなにせ件数が多すぎる。業種・業態も製造業から小売業までガタガタ。自分に客を見る目がないのもあろうが、数年の取引実績のあるクライアントの突然死には、手の打ちようがないよなぁ。新規受注はおろか、既存クライアントの動向にも目を光らせていないと、いつ足元が崩れ落ちるかわかったモンじゃないよ。ってか、すでに崩れてきてンだけどね。

　ここで問題です。地割れが発生して、目の前の地面が崩れていきます。来た道を引き返すべきか、それとも飛び越えて向こう側へ進むべきか？

　正解は……、来た道を引き返して別の道を探す事でしょうなぁ。だって飛び越えた向こう側だって、崩落し始めているんだから。地割れが塞がりでもしない限り、向こうへ行っちゃったら退っ引きならない状況に追い込まれちゃう。最悪の場合、前方に何が待ち受けているかわからない状況でありながら、後ろから崩落が追ってくるもんだから、立ち止まって考える暇も無くなっちゃう。こんな時は 「逃げるが勝ち」 であり、「逃げるも勝ち」と言うべきでしょうな。

　と、まぁ、　そんなこんなで、昨年までのような安穏とした生活は望むべくもなく、痩せようと努力しなくても、文字通り、身の細る思いをしつつ、営業に駆け回り、仕事に精を出し、クライアントの支払い状況にも目を光らせながら、つつましやかな食生活にして出費を抑えていくしかない、あるいは直に飯も喉を通らなくなりそうで、身も蓋もありゃしないって我が身のお話でした。

　こんなんじゃ、儂ァ、放っておいても痩せるわィ！

　でも、カッコよく痩せたいので、食事制限とトレーニングは続けますです。はい。