懐疑

　小心で臆病者で貧乏性の自分は、政府やマスコミ、ましてや民間企業の発表や他人の言う事を鵜呑みにはしない癖が身に染み込んでいるので、他人様からは 「ヒネ者」 と揶揄されちゃったりもしているんだが、そのおかげで寄る辺なき身の上ながらも夫婦二人、安物ではあるが時と場所に合わせたオベベを着ていられるし、屋根のあるところで寝起きもできているし、おまんまも三度三度食べていられるわけです。まぁ、ちょこちょこと売掛金を踏み倒されたりはしているけど。

　で、そんな自分もあれやこれやの保険には加入していて、火災保険や自動車保険や生命保険、ペットの健康保険なんてェのにも入っている。義姉さまは生命保険会社の正社員、自分自身も証券業界に身を置いていたこともあるし、損害保険の代理店資格なんかも持っていたりもするんだが、まぁ、常に正しい判断が出来るかどうかは別として、世間一般のみなさんよりは、多少なりともその道の知識は持っているわけです。

　そこで経営が左前になってきた会社の話なんだが、株価が200円を下回ると 「倒産株価」 と言って、経営状況は危険水域に入っているとみなされ、100円を切ってきたら、「これはもう、ダメかもわからんね」 の状態、株式額面の50円を切るとボロ株とかクズ株と呼ばれ、いつ倒産しても不思議じゃないと市場から判断されているわけです。そんな会社と新規に取り引きするのは、普通だったら避けます。どんなに有名な企業であっても、倒産リスクがメチャクチャ高い、って事なんだから。

　そんな 「死に体」 の状態なのに、テレビでコマーシャルをバンバン流し、せっせと新規の契約を増やそうとしている会社があるわけですよ。有名タレントや元プロ野球監督やスポーツ選手を使ってね。いや、これから経営が持ち直しそうだ、ってンならいいですよ。ところが、米国の本社は米国政府から支援を受け、その支援ではまだ金が足りねェってンで支援のおかわりを申し出ていて、さらには事業部門の一部を米国政府に移譲するってな状況。その会社の株価がコレです。
　http://www.google.com/finance?q=NYSE:AIG
1ドル以下ですゼ、旦那。でも、日本法人は大丈夫、「ゼッタイに大丈夫だから安心して！」 って告知を出しているんですな。
　ttp://www.alico.co.jp/about/09_0226.pdf　（URLの頭に"h"を付けてください）

　マ～ジ～で～？　ウソこいてな～い～？　潰れそうな会社で、「オラの会社は倒産寸前で、もう、青息吐息だがね。今後の取り引きは注意してくだせぇよ」 なんて言うトコはありません。なんやかんやと理屈をこね回して、「ダイジョ～ブ、ダイジョブネ。ワタシタチ、ウソツカナ～イ。イエスサマハ、シンジルモ～ノハスクワレル、イイマ～ス。オキャクサン、アンシンシテオカネアズケル。シンジテオカネダセバ、シアワセカムカム、アナタノジンセイ、バライ～ロ！」って言うよ。心の中で舌を出しながら。

　「信じる者はすくわれる」って言うけど、すくわれるのは足かもしれないよ、ってお話でした。