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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 居合練習用の模造刀の手入れ。知人から頂いた一振りと、役者擬き時代に購入した一振りの刀身に拭いを掛け、ハバキ、鍔、目釘、柄の緩みをチェック。かなり激しく振るので、目釘が傷んでいたり、柄と茎(なかご)に緩みがあると、刀身がすっぽ抜けて飛んでいく危険性がある。怖いのは抜けた刀身がどこに飛んでいくかわからない点だ。模造刀身とは言え、切っ先は鋭いので刺されば大事になる。



 居合練習刀は本身(真剣)よりも扱いは楽だが、手入れを怠ると真剣と同様の事故が起きかねないので、おもちゃ扱いにはできないし、正当な理由なく街中を持ち歩いたりしたら、銃刀法違反で検挙される。どうせなら本身が欲しいとは思うのだが、手入れの手間を考えると、とても手が出せる代物じゃない。刀身は防錆のため刀油を薄く引き、白鞘に納めて桐の刀箪笥に仕舞っておく。さらに10日~1ヶ月毎に拭いを掛け、打粉(砥石の粉)を打って古くなった刀油を落とし、再度刀油を引いておかねばならない。鞘や鍔や柄の拵えには竹光を入れて飾っておく。こうして文章にすると大したことは無さそうに見えるが、日本刀は刀身も拵えも非常にデリケートで、保存しておくだけでも手間とお金が掛かる。昨年、お値打ち価格で有名な刀の引き合いがあったのだが、そんなこんなで諦めるしかなかった。まぁ、正直に言えば、刀の真贋の見極めも出来ないし、車を買い替えたばかりなのに道楽で7桁の買い物などしたら、家内に叱り飛ばされるのが目に見えていたからなのだが。

 一通りのチェックを終えて、知人から頂いた一振りの鞘と刀身の収まり具合が少し緩いのに気付いた。これでは柄が下になる天神差し(騎馬武者の差し方)にしたら、刀が抜け落ちてしまう。鞘の鯉口内側と刀身側のハバキが擦れて緩くなってしまうのは仕方がないが、本身だったら鞘割れして自分の指を切り落としかねない。ホームセンターに経木を買いに行き、カンナで薄く削って鞘の内側に木工用ボンドで貼り付けて修理完了。本当はモチ米を練って、それを湯で薄め溶いて使うのが本式らしいが、現代では本職の刀職人でも木工用ボンドを使用しているのだから、こだわる必要はないだろう。てか、木工用ボンドの方が優れているって事だろうね。

 ボンドが乾くのを待ち、刀身を納めて最終チェック。室内で正座した状態から、抜き打ちを掛けてみる。室内では刀は自分の右側に置くのが定法。一挙動で右手で拾い上げた刀を左手に持ち替えて抜刀し、片膝を付いたまま真っ向唐竹割りに斬り下げる型。補修した刀の具合は上出来なのだが……、自分の腰が定まらない。稽古が足りない。昔取った杵柄など、腐り朽ち果てていた。現代人の日常で、こんな動作は有り得ないからなぁ。

 正座から片膝立ちの動きを繰り返していたら、左足がパンパンに腫れ上がってきた。あぁ、軸足となる左足に相当の負担が掛かっているんだ。刀を握る右腕、右肩も凝ってきた。ダンベルトレーニングなどで使う筋肉とは、まったく違う筋肉を使っているのが判る。これじゃまるで、白鞘の中にヌクヌクと眠らせておいて、手入れを怠った刀と同じじゃないか。錆びてなまくらになった刀は役に立たない。

 学問も、武道も、スポーツも、お仕事のスキルも、常日頃から磨いていないと錆び付いてしまうよ、ってお話でした。 ……当分の間、毎日稽古しよっと。

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YASU ・居眠釣四郎・眠釣
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自己紹介:
釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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