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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 売文屋なんて商売をやっていると、アチコチに顔を出したり、いろんな筋のお話を聞いたりして、時には知らなくてもイイような話も耳にしちゃったりするんだが、そんな話は大っぴらにするモンじゃありません。内緒の話は内緒にしておくのがこの商売の仁義であり、仁義を守らないヤツは相手にされなくなります。で、そんなお仕事の関係で、時々情報を交換していた知人から、久しぶりに電話が掛かってきた。

 「あのさ、×××の△△の件なんだけど、そっちの方面の話に詳しかったっけ?」

 「いや、別に詳しくないけど。なんで?」

 「ほら、□□の○○○がさ、×××の△△のアレじゃん?」

 「さぁね。自分は詳しくないし、よく知らないなぁ」

 「またぁ~、こないだの●●●の△△。あれ、釣四郎さんでしょ?」

 「へ? 知らないよ。なんの話だかわかんない」

 「とぼけなくってもイイって。□□の○○○に行ってたの知ってるンだから」

 「おい、商売柄詮索好きってのはわかるけど、この商売にゃ仁義ってモンがあるぞ」

 「あ、怒った。ありゃやっぱり釣四郎さんだね」

 「うるさい。もう切るぞ」

 「ちょ、ちょっと待った! 怒らせてごめん。儲け話、儲け話なんだって」

 「別にお金には困ってない」

 「あ、言い方が悪かった。お仕事です、真っ当な」

 「ウソだね。大方、変な筋から頼まれたんだろう」

 「違う違う。×××とは全然関係ないから」

 「あってもなくてもお断りだね。忙しいから切るよ」

 「待って、待って。ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから話を……」

 「ダメダメ。知らないものは知らないの」

 「ねぇ、これが最後の切り札なんだよ。お願いだから教えて」

 「ヤダね。その件に自分はまったく関わりないから。じゃぁね」(ブチッ!)

 さすがに命を奪られる様な事はないだろうが、チョイと怖い思いをしちゃうような事も、あり得なくもない、ってのがこの商売なんで、余計な事には首を突っ込まないのが正解なんだが、商売と自分の好奇心との境界線が曖昧なヤツもいるわけです。そんなヤツはたいがい下手を打って周囲を巻き込んじゃったりするので、少しでも違和感を覚えたら近付けないようにしておかないと、とんだ飛ばっちりで酷い目に遭っちゃいます。

 そもそも、世間は輝ける明日よりも、昨日と変わらぬ今日を求め、今日と変わらぬ明日を望んでいるってモンですよ。日本人は世の中がドカンとひっくり返るような、急速な変化は望んじゃいない。慎重で計画的で律儀なのが日本人の特性であり、長所なわけです。一夜にして富と名声を得ようなんて無理だってわかってるから、貧乏なら貧乏なりに、その日その時の幸せを見つけ、自分に出来る範囲の背伸びをしながら日々を生きているわけで、一発狙いの出たとこ勝負なんてのは人生に一度っきりで充分。自分はその一度っきりに使う最後の切り札は、大事に大事にとってあります(笑)。

 最後の切り札ってヤツは、いざという時でも最後の最後までとっておかなきゃ切り札にはなりゃしませんよ、ってお話でした。

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プロフィール
HN:
YASU ・居眠釣四郎・眠釣
性別:
男性
自己紹介:
釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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