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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 港湾開発の技術面では世界をリードする日本でありながら、港湾の使い勝手やコスト面ではアジア各国に劣り、国際競争力の回復が急がれているという。日本の港は荷役に関係するコストが高く、おまけに入稿・通関手続きが面倒ときては、いわゆる "Japan Passing (ジャパン・パッシング=日本飛ばし)" が行われるのも仕方がないだろう。しかし、このような現実を知り、考えるようになったのはモニターとして月刊港湾を読むようになってからの事。一般市民にしてみれば、日本の貿易港が上海や釜山などの港に追い抜かれている事を知らない。知識どころか、関心すら持っていないのが現実。自分の住む街の港が、どこから何が運び込まれ、どこに何を運ぶ港なのかも知らないのが普通だ。それも無理のない話で、港は港湾関係者と企業と貿易業者と漁業者のものであって、一般市民には近付く事さえ禁じられた場所。興味や関心を持たせない様にしているのだから、再開発への理解や協力を求めても、市民の無関心と非協力に嘆く事になるだろう。

 私は名古屋港の近くに住んでいるが、大型トラックの騒音・振動・排気ガスは凄まじい。利便性を向上させるため港湾業務が24時間稼働になったら、深夜早朝も大型トラックが走り、振動や騒音に悩まされる事になる。周辺住民にしてみれば、迷惑千万な話でしかない。事前に「かくかくしかじかの理由で、港湾は24時間稼働となり、周辺住民には騒音・振動・排ガス等のご迷惑をお掛けする。ゆえに道路には低騒音、低振動の高規格舗装を施し、排ガス対策も行うので、ご理解とご協力を願う」と、周辺各戸に事情説明と環境対策を約束するくらいの事はしないと、理解も協力も得られまい。改善や再開発は港湾そのものの効率化と利潤追求だけではなく、周辺地域の環境も含めて計画していただきたい。『みなとの偉人たち』に紹介された、薩摩藩の辣腕家老 "調所笑左衛門広郷" が行った苛斂誅求とも言われる財政改革への庶民の怨嗟は昭和の時代になっても続き、広郷の7代目に当たる調所一郎氏は、今でも奄美には足を運びづらいとおっしゃっていると聞く。強行策をとって市民の心に芽生えさせた怒りは憎しみに、悲しみは怨みとなって、後世に残る事になるという実例である。

-「月刊港湾」'06年7月号掲載稿に加筆修正-

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YASU ・居眠釣四郎・眠釣
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男性
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釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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