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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 今日は月に一度の自宅作業日。外出許可を取って、自宅で作業&各種データの整理やら、FAXや郵便や宅配便でのやりとり、ついでに選挙の期日前投票も済ませてこよう。

 白血球や好中球が若干低めなんだが、M95マスクに抗菌スプレーでコーティングした上着着用、アルコールジェル持参で行ってきます。食事はもちろん、加熱調理された熱々のモノをゆっくりと摂ります。ま、外食するにしてもうどんとかラーメンとかの熱々ですな。基本は家内の手作りだけど。

 いや、実は自分の大好きなラーメン屋さんの、「台湾ラーメン」が食べたくて仕方がない。スープたっぷりのジャージャー麺って感じなんだが、これが美味いンだ。ちなみに、台湾ラーメンって名前だけど、台湾にはないラーメンです。「名古屋に住んでいる台湾人が生み出したラーメン」なんだよね。本家本元は今池って街にある”味仙”って中華料理店。何店かチェーン展開もしてるけど、どこのお店も美味しいです。一品一品もリーズナブルだし、台湾ラーメンはお取り寄せも可能。
【味仙】 http://www.misen.ne.jp/

 まぁ、こんだけ味仙を取り上げておいて、自分が行くのは別のお店だったりするンだけどね(笑)。どこへ行くンだって? そりゃナイショですよ。いっつも満員で、駐車場も3台分しかないお店なんだもの。晩ご飯は午後6時頃に、せいろ蒸しのカニ、蒸した常陸タコの酢の物、本物の赤だしの味噌吸い物、炊きたてのご飯の予定。

 そんなワケで、今日は久々にシャバの空気を吸い、シャバの飯を食ってきますよ、ってお話です。ジンマシンがまだ痒いけど……(笑)。

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 抗ガン剤の副作用で、白血球が基準値(4~9ユニット)なのに対して、1.1ユニット程度にまで下がった所で風邪を引いちまったモンだから、抗生剤セフェピムの点滴を受けているんだが……。最初は太腿にジンマシンが出て、痒みは感じなかった。それが夜には手の甲や手の平に出て痒くて目が覚め、翌々日には腰にもジンマシン、とうとう昨夜は腕やお腹にまでジンマシンが出て、痒くて眠れなくなった。生まれて初めての、お薬によるアレルギー反応。先生に相談したら、抗生剤の投与は中断しましょう、との事。

 でもなぁ、風邪の症状は確実に軽快しているンだよなぁ。熱もいつもの微熱程度に下がったし、咳も出るには出るけど、咳き込む事はなくなった(咳止めのコデインシロップも飲んでるけど)。やっぱりクスリは逆から読むとリスクってンだから、効果もあれば副作用もあるんだね、ってお話です。

 あ~、お腹と腕が痒い! あ、痛ッ! 点滴針刺さってるトコまで掻いちゃったよ。 ヾ(`皿´)ノ゛ムッキー!!

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 病院の飯が不味いだの、すき焼きに入れたダイコンが美味いだの、偉そうな事を書き殴ってきたが、とうとう味覚と嗅覚のほとんどが失われてしまった。旨味と酸味はかろうじてわかるンだが、甘味、塩辛味、辛味、苦味、渋味などほとんど感じない。ミカンが少しも美味しくない。むしろスイーティオやグレープフルーツの方が、キリッとした酸味を感じて美味しい。

 まぁ、抗ガン剤治療の副作用で、そんな状態に陥ってしまってガッカリなんだが、今朝、歯を磨いていてガッカリに追い打ちを掛ける症状に驚いた。目で見てハッキリとわかるほど、舌の黒斑が大きくなっていた。これじゃ犬の舌ベロだよ……。両手両足の爪も黒変し始め、両腕の肩口にも虎柄の色素沈着が出ているし、生き腐れのリアルゾンビだね、こりゃ。

 こうして自分の身体に現れ始めた異変を、「うわ~、こりゃすげェわ」 と受け止められるのも、治療が順調に効果を上げているからですね、ってお話でした。

 とは言え、ガンの治療は桶と同じで、チョイとタガが緩んだら、一瞬にしてすべてがバラバラになってしまう。やっぱりカミソリの刃の上を、裸足で歩いているような状態なんだよなぁ。強く踏み込んだら切れる。ビビって摺り足にしても切れる。当然、後戻りって選択肢はない。ゆっくり、慎重に足を運びながら進むしかないンだよなぁ。良いドクター、良い看護スタッフに恵まれている自分は幸せです。

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 D病院栄養科の調理請負業者との和議以降、目に見えて……じゃない、舌に感じて味付けが良くなった。そりゃまぁ、限られた予算(食材費)と、栄養士の先生によって定められた調味料や成分比率、マニュアルによって調理方法が定められている中での事なので限界はある。付け合わせの副食に関しては、お世辞にも美味しいとは言えないが、手抜きや妥協は感じられなくなった。

 が、自分も他の患者さんも、「――ッ! 美味しくなったよな?」っと目を丸くしたメニューがある。スープと味噌汁だ。特に食事規制のない通常食の患者は、朝食はご飯とパン食のどちらかが選べるのだが、コンソメスープが付く事が多い。このスープの味が格段に良くなった。腎臓療養食や重湯の患者さんには味噌汁が付く。しかし、塩分は極端に控えた超薄味。だが、腎臓療養食の患者さんも、重湯の患者さんも、「「んんん~? 味噌汁がウマイ!」と首をひねっている。てか、美味しくて首をひねるのもおかしな話なんだが、間違いなく美味しくなった。

 良い仕事をしてくれるようになって喜んでいたら、栄養科の栄養士さんと調理員さんが部屋を訪ねてくれた。

  「眠釣さん、お食事は改善されましたでしょうか?」

  「ご自分でどう思われますか?」

  「気付きの足りなかった部分を話し合い、改善しました」

  「うん。スープとサラダで、皆さんのお気持ち、お心遣いを感じてます」

  「どのように良くなりましたでしょうか?」

  「僕だけじゃなく、患者さんみんながね、『スープと味噌汁が美味しくなった!』って」

  「うれしい! 実はスープやお味噌汁のダシの取り方に注意を払う事にしました」

  「付け合わせも、イイお仕事をされているのがわかりますよ。
   残念ながら、まだ美味しくはないけど(笑)」

  「そうですか……」

  「でもね、手抜きや慢心や妥協は感じられないよ。
   皆さんが一所懸命やって、もうこれ以上はどうにもならない、ってわかります」

  「……、おわかりになるんですか?」

  「僕だけじゃないよ。みんなそう言ってる」

  「調理手順や調味料は、厳密にマニュアルで定められてますから……」

  「わかってるよ、僕らはお豆腐をシャブシャブにしろ、なんて言わない」

  「???」

  「湯豆腐はどうやったって湯豆腐にしかならんでしょ。
   お豆腐でしゃぶしゃぶは作れないのは当然じゃん(笑)」

  「努力や気遣いを評価してくださる……」

  「うん。何度も言うけど、不味くて食えなくても、お年寄りの患者さんは
   『不味くて食えない』って絶対に言わない。いや、言えないんだよ。
   その結果、持続点滴による強制栄養に切り替えられてしまう。
   これで退院できなくなるし、口から物が食えくて心が折れ、弱っちゃう。
   だから僕は貴女たちの慢心、手抜きが許せなかった」

  「ご指摘、本当に申し訳なく、身に沁みています。
   これから時々、ご意見を伺いに上がってよろしいですか?」

  「もちろん! 僕だけじゃなく、何人かの患者さんにも聞いてみて」

  「はい、私達作り手と患者さんとの距離を埋めたいと考えました」

  「直接のコミュニケーションって大事だよね。
   お互いの顔が見える、思いがわかり合えれば、美味しくなくても許せる(笑)」

  「はい、申し訳ないですけど(笑)」

  「これからも良い仕事をお願いしますね(笑)」

  「はい、暖かいお言葉ありがとうございます。
   調理員全員に申し伝え、心引き締めて参ります」

  「皆さんを信じて、頼りにしてますからね。信頼してますよ!」

  「はい!」

 今後は時々、自分に限らず、栄養科の方が患者さんから意見を聞き、自分達の仕事の評価を直接聞く機会を持つとの事だ。作り手と食べ手の患者が連携できれば、不平不満も激減するってモンだ。

 なんとも良い気分だった。自分も、調理員さんも笑顔で話し、気持ちが通じ合った。もっと前から、こういったコミュニケーションが取れていればよかったンだけど、今からでも遅くはありませんよね、ってお話でした。

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 某さんからお見舞いに、自家製燻製と見事な丹精のダイコン、そして過分のお心遣いまで頂戴してしまった。なんとも有り難く、また恐縮至極……。

 早速、ダシで炊いて粉山椒を振り、熱々を炊きたて飯と共に……、ってワケにはいかないのは、先日の日記に書いた通り。
<舌悦 http://craze.blog.shinobi.jp/Entry/650/>
なればランチジャーで運べる、最善の調理方法を考えねばならぬ。脳内の引き出しを開けたり閉めたりしながら、ツラツラと考える事、小一時間……。

 メイン食材は旬のダイコン。身体が温まり、休薬中の体力回復に適した栄養価の高い料理で、塩分や糖分は控え目にするにはどうすればよいか? ダイコンと粉山椒の相性は非常に良く、かつ薄味仕立てでも美味しく食べられる。運動不足と抗ガン剤治療の副作用による便秘予防に食物繊維をより多く摂取し、さらに若干貧血気味なので、赤血球・血小板を増やすために鉄分豊富な春菊や肉類も摂りたい。滋養豊富で消化吸収の良い卵も欲しいな。と、なると最適の調理方法は……。

  「 ダ イ コ ン ・ ゴ ボ ウ ・ 春 菊 ・ 牛 肉 の 柳 川 風 鍋 」

 よっしゃァ、調理方法は決まった。早速、家内に携帯メールでレシピを送信。作り方は簡単。

 1.ダイコンを薄い銀杏切りにして、フキンかペーパータオルで水気を取る。
 2.ゴボウはささがきにしておく。
 3.ダイコン、ゴボウを上質な牛脂、砂糖、醤油、日本酒で甘辛く味付け。
 4.牛肉を加えてすき焼き風に焼き、手ちぎりした春菊をサッと炒める。
 5.火を止めて溶き卵を流し込み、柳川鍋風の半熟状態に仕上げて完成!

 ダイコンをすき焼きに入れる家庭は少ないと思うが、我が家では定番のすき焼き食材。それを柳川風に応用しただけなのだが、一味唐辛子や粉山椒を振り、飯と共にアフアフ、バクバクとかき込む幸せ……。もうね、想像しただけお腹はグーグー鳴る、よだれは垂れてくる。コレは舌の悦楽、「 舌 楽 」 ですよ、ってお話でした。

 家内からメールの返信が来たンだが、「今日は作ってらンねー!」 だって。じゃ、明日のお昼にお願いします(笑)。

 明日の牛肉も飛騨牛A5かって? いや、明日は地元ブランドの知多牛(ちたうし)の特選すき焼き用ロース肉です。【知多牛 http://www.chitagyu.co.jp 】 乳牛のホルスタイン種と黒毛和牛との交雑種で、飛騨牛や松阪牛などの和牛肉牛と比べたら相当に格下なんだが、飼育方法の工夫や、交配する和牛の変更により、今では相当に美味しくなった。交雑牛なので 「 和 牛 」 を名乗る事は出来ないが、すき焼きやビーフシチュー、カレー、ハヤシ、ハッシュドビーフなどに最適。コストパフォーマンス抜群で、国産牛としてかなりお買い得なお肉です。

 某さん、本当にありがとう存じました。重ねて御礼申し上げます。

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 抗ガン剤治療第三クールの休薬期間に入り、昨夜から抜針(ばっしん)と言って静脈に刺してあった留置針を抜いてもらった。抗ガン剤による肉体的疲労、それと静脈を休ませる期間ね。強いお薬を流し込まれていた静脈は、炎症を起こしてカチカチになってしまうのだよ。

 で、この休薬期間になると、血液検査による白血球数や貧血状態など、各種チェック項目で問題が無ければ、お風呂に入ったり、外出・外泊許可を受けて出掛ける事が可能になる。まぁ、点滴刺し、点滴台引っ張りながら外出、ってのはあり得ないワケです(当然だわな……笑)。

 そんな入浴可能になったから、ってワケはあるまいが、先ほどの深夜2時30分。首筋から背中にかけて、凍り付くような寒さと冷たさ感じて飛び起きた。名古屋の最低気温は0度……って違う! むくんでバッツンバッツンに膨れ上がった首筋を冷やすために当てていた、氷枕がパンクしたのだッ! 枕もシーツもベッドパッドもマットもズブ濡れ……。大慌てでナースコールを押し、看護師さんを呼ぶ。看護師さんが状況を言わずともスッ飛んできた。昨日、抗ガン剤ブレオの追加投与を受けてるから、体調不良が起きた、と思ったンだろうなぁ。

  「どうしましたッ!!」(血相を変えた看護師さん)

  「えっと……、あの……、氷枕がパンクした……」(上半身びしょ濡れの眠釣)

  「えっ?」

  「突然、氷枕がパンクしたらしく、氷水でビショビショになっちゃった……」

  「身体は大丈夫? 気分は? 自分で着替え出来ます?」
 
  「うん」
 
  「早く着替えて。タオルと着替えはありますか?」

  「うん。大丈夫」

  「じゃ、シーツ、枕、ベッドを直しますから」

  「は~い」

 応援の看護師さんも駆け付け、二人でテキパキとベッドを直してくださった。やれやれ……。よもや病院、それも病床で寒中水泳する羽目に遭うなんてねェ……。やっぱり眠釣ってなぁ、あり得ない事を次々と引き起こす鬼籍……じゃない、奇跡の男だと思うよ、ってお話でした。

 いや~、マジで心臓に 「ギクンッ!」 ときたし、本当に鬼籍に入っちゃいそうだったわ……(笑)。

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 食材にはそれぞれ 「旬」 ってモンがあって、冬には冬に旬を迎えるモノを食うのが一番なのは言うまでもないんだが、栽培技術、品種改良、海外輸入ルート、輸送技術、保存技術の進んだ現代では、真冬でもトマトだろうが、スイカだろうが、買い求めようと思えば何だって手に入れられる。

 自分は肉類や魚類も好きだが、40代末から野菜類の美味さに目覚め、とりわけ根菜類を好んで食うようになった。今の時期、一番好みの料理は、ダイコンをシンプルに出汁で炊き、粉山椒を振って、炊きたての飯と共にフゥフゥと食う。他におかずなどいらない。あぁ、言い過ぎた。ダイコンの葉の塩もみ、程度の香の物は欲しいな。残念ながら入院中の身の上では、この至福の一品を味わう事が出来ない。

 病室の天井を見つめながら、「ダイコン炊いて、食いてェなぁ……」 と独りごちていたら、不意に牛肉のタタキが思い浮かんだ。なんだ、この思考の飛躍は? ともあれ、思い浮かんだら最後、食べたくて食べたくて、どうにもならなくなってきた。しかし、今日は抗ガン剤治療第三クールで、ブレオマイシンの追加投与日。ブレオマイシンは自分にとって、微熱、吐き気、耳鳴り、血圧低下などの直接的な副作用が最も出やすいお薬。投与されたら、牛肉のタタキなど食べたくなくなってしまうに違いない……。そうだ、そうだ、気分が悪くなってしまうかもしれないから、やめた方がイイ。うん、諦めよう……。

  「あ~、もしもし。あのさ、今日のお昼なんだけど、牛肉タタキってお願いしてイイ?」

 お~いッ、眠釣! オマエは何を頼んでいるんだ? 吐き出しちゃうかもしれないぞ!

  「お肉食べられるの?」

  「う~ん、ブレオ投与なんだけど、今の気分はどうしても牛肉のタタキなんだ……」

  「生肉ダメじゃない? 白血球の値は?」

  「大丈夫、7千ユニットあるから正常値の上の方」

  「ホントだね?!」

  「ウッソじゃねーって!」

  「ローストビーフじゃダメなん?」

  「グレービーソースじゃなくて、ポン酢味で食べたいんだ」

  「う~ん、じゃぁ、作ってあげるけど、気分悪くなっても知らないよ」

  「大丈夫だと思う。根拠はないけど(笑)」

  「わかった。残したら私が食べるからイイよ(笑)」

 抗ガン剤の追加投与は午前中で終了。それも耳鳴りだけの、ほぼノーダメージ。正午……。家内が昼食を持って登場! ランチジャーを開けると……。

 1.上段保冷パック=牛肉のタタキ&茗荷刻みサラダ
 2.中段保温パック=芝海老とネギの焦がし醤油風味チャーハン
 3.下段熱蔵パック=モヤシとシイタケと生ニラの中華スープ

 やった~ッ! 大好きメニューばっかりじゃーん。ベッド上で小躍りしながら、牛肉のタタキを……、ウッマァ~イ! 時季外れだが茗荷の風味がビンビンに効いていて、ポン酢+ワサビとの相性も最高。このお肉……、高かっただろうなぁ……。サシの入り方、色合い、脂の甘味、どれもこれも申し分無い。目を閉じ、肉の出自を探るような表情で食べていると、家内が一言。

  「飛騨牛A5だよ!」

  「ゲッ! マジで?」

  「お肉食べたいって言うから、”最高のモン食べさしたげよう” と思った」

 ここで ”松阪牛” じゃないトコが家内らしいね(笑)。いやいや、飛騨牛は最高のお肉ですよ。自分も松坂、飛騨、神戸、米沢など、どれも美味しいし、味にどんな差があるなんてわかりません。ともあれ、今日は「口福」 ならぬ、舌の悦び、「舌悦」 を楽しんでしまいましたよ、ってお話です。

 贅沢しすぎだって? うん、自分もそう思います。でもね、それができるように自分は頑張ってきたンだよ。そして我が身の幸せを噛み締めながら、闘病の日々を過ごしてます。

 俺ァ、末期ガンなんだよ。いつ死んじまうかも知れないんだから、自分で稼いだ金で贅沢したってイイじゃん(本音)!

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 抗ガン剤治療第三クール5日目。物見隊の制吐剤部隊、先陣ペプシド隊、本隊シスプラ隊の攻撃は、微熱、耳鳴り程度のダメージで無事終了。吐き気や激しいめまい、頭痛に悩まされずに済み、食欲不振にも陥らなかった。

 今日の昼食は家内の手作りビーフシチュー。と、言うよりも、牛肉200gをデミグラスソースで煮込んだ、と言った方が早いかな? さらにタマネギ1個、ジャガイモ2個、人参半本が煮込まれ、付け合わせに生パセリ4株と、豆姫さん手作りのスモークチーズ4片。それにパネトーネ生地のクロワッサン2個。もう、「どこのホテルだよ?」ってな勢いの豪華メニューでしょ?

 一口シチューを含んだ途端に、思わず声が漏れてしまった。美味い……。本当の事を言うと、このところ旨味(美味い不味い)はわかるが、塩味、辛味、酸味、甘味、苦味、渋味などの味覚が鈍り始めてきている。当然、嗅覚も鈍っているのだが、今日はハッキリと味も香りもわかった。肉の香ばしさ、デミグラスソースの香気が違う。これでも釣魚料理漫画のメニューレシピ原案を提供した事もある眠釣様だ。家内は笑っていたが、何か手を加えているのは明白。もう、涙が留まらなくなってしまった。

 「??? ねぇ、どした? 熱かった?」 

 「違う。美味い……」

 「美味しくて、何で泣くンさ?」

 「わからんけど、うれしい(泣)」

 「変なの(笑)」

 旨い、美味い、ウマイ、うまい、美味しい、オイシイ、おいしいと食べ進めていたのだが、抗ガン剤治療を受けていると、食事だけでもかなりのエネルギーを消費しているのがわかる。やはり身体の芯が、治療のダメージと対抗するために疲れているのだ。途中で休憩しないと食べ続けられない。首筋に汗が浮き、呼吸もフゥフゥとなってくる。真夏に熱々のラーメンを食っているような感じだ。

 泣きじゃくりながら、休憩を交えながら、昼食を摂った。食べ終えたところでバイタルチェックに看護師さんがやってきた。

 「うわ~、いい香り。おいしそ~なニオイがしますね♪」

 「わかる?」

 「だってまだ、お昼ゴハン食べてないンです(笑)」

 「あぁ~、患者さんの食事配膳、食事介助、それにルーチンワークだもんね」

 「よく知ってますね~(笑)」

 「もう、何ヶ月ここにいると思ってんの(笑)」

 「眠釣さんは抗ガン剤治療中でもシッカリ食べられてヨカッタ♪」

 「ありがとう。でも、ちょっと疲れた(笑)」

 「?」

 「ゴハン食べるとね、食事疲れするんだ」

 「……ッ! 気分が悪いのに、無理に食べてるとか?」

 「違うよ。夏の熱々ラーメン食いみたいな感じ(笑)」

 「ん~、悪い感じじゃないンですね?」

 「うん。むしろ疲れてでも食える幸せ、口の幸福、『口福』 ってのを感じてる(笑)」

 健常者にはどうやっても伝わらないであろう、噛み合わない会話を聞いていた家内が、ケラケラと笑ってましたよ、ってお話でした。

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  アメーバブログのようなブログサービスや、mixiのようなSNSサービスでは、特定の友人や読者にだけ記事や写真を見せたり、非公開でメッセージを送ったり、時にはネットでプレゼントを贈る事もできる。そのプレゼントは現物に限らず、バーチャルなモノだったりもするワケだ。これはアメーバブログのアメンバー、”マイちゃん♪”さんから頂いた、バーチャルの「癒し温泉」。

 自分はすでに50歳を迎えようというオッサン。バーチャルなキャンデーとか、まんじゅうとか、「なんじゃ、その子供だまし……」っと冷めた目で見ていたのだが、バーチャルお見舞い花束、クリスマスキャンデー、正月餅なんかをいただくようになった。なんだよ、メッチャクチャに嬉しいじゃねーかッ! お気持ちがこもったバーチャルプレゼントに、涙がこぼれてきましたよ、ってお話です。

 仮想世界でも、現実世界でも、心が込められていれば、相手の心にも響くモノなんだなぁ……。

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 剣豪小説の”眠狂四郎”と言えば、必殺剣「円月殺法」なんだが、居眠釣四郎は抗ガン剤治療第三クール4日目、ついに顔がむくみ始め、「円月容貌」になってしまった。今までも膝や脛、くるぶし、足などが赤ちゃんの様にプクプクになったりしたが、今回は顔が真ん丸に。50オヤジのアンパンマンだよ、これ……。ちっともカワイクねェし、笑えねェ~(笑)。

 しかし、今日も先陣のペプシド隊の攻撃時間半刻(1時間)も、本隊のシスプラ隊の攻撃時間一刻(2時間)も、大きな副作用無く乗り切れた。釣友のWASAさん、釣りインストラクター仲間でマイミクの豆姫さんがお見舞いに駆け付けてくださり、心晴れやかに抗ガン剤治療を受けていられたおかげだ。食欲も落ちず、シッカリと食事も摂れた。ん? あぁ、昼食は久々に病院食の昼食を食いましたよ(笑)。シッカリとサラダの野菜は水切りがされ、ビショビショのダラダラではなくなってた。そう、これが「作り手の思いの込められた病院食」ですよ。やればできるじゃんネ。夕飯は家内の差し入れ食の、鶏蒲焼き釜飯、砂肝、ハツ、ハラミ、モモ肉の塩焼き。これがもう、激ウマ! 腹一杯食ってしまった(笑)。

 やっぱりね、眠釣ってのは幸せな男ですよ。末期ガンだろうがなんだろうが、こうして人と会って笑い、事にぶつかって怒り、美味いモノを食って喜ぶ。喜怒哀楽という感情や気分を心から堪能できちゃってんだからね、ってお話でした。

 うらやましい? じゃ、せいぜい不摂生、不養生して末期ガンに罹ってください。きっと眠釣と同じ気持ちになれますよ(鬼笑)。

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HN:
YASU ・居眠釣四郎・眠釣
性別:
男性
自己紹介:
釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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