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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 寝たきり状態になってしまった愛犬ロン。が、目覚めている時の意識はハッキリしており、時折モゾモゾと身体を動かして床ずれを防いでいる。しかし、眠っているのか、意識朦朧となっているのかわからない時もある。そんな時、「このまま逝っていいよ」「頑張らなくていいんだぞ」と心の中で語りかけているのだが、なかなかにロンもまだこの世に未練があるようだ。右後肢は完全に麻痺、左後肢も負担が掛かる分、強張ってきている。近いうちに下半身麻痺に陥るだろう……。



 エサは犬用の病中栄養食(=子犬用離乳食)や犬用流動食、鶏ササミの水煮を細かく割いたもの、細かく刻んだ生牛肉などを、口の中に押し込んで飲み込ませる "強制給餌"。水も1ccスポイトで30ccを一日に10回以上与えている。排泄は全て抱きかかえて外に連れて行き、景色を眺めさせながら、外気を吸わせ、身体を支えてやりながら自力で排泄させている。早晩、自力排泄も出来なくなるだろう。下半身の麻痺が進んでくると、下っ腹に力が入らず、垂れ流しになるはずだ。その時に備え、ペット用オムツを用意してある。

 一昨年の春にシャーを送った時に較べ、不思議なまでに落ち着いている自分。半野良だったシャーとは違い、ロンは経過をすべて把握しているし、天に帰る時が来てもおかしくない年齢でもある。ロンの兄弟5匹はすでに天に帰っていて、残っているのはロンだけなのだ。数々の病魔と闘い、打ち勝ち、生き残ってきた。一昨日の危篤状態からも蘇生した。もう充分に闘い抜いた果ての今なのだ。もし、今、この瞬間にロンが天に帰ったとしても、安息の時を迎えたと言える。この1年半、睾丸腫瘍、口腔腫瘍、皮膚ガン、膀胱結石、膀胱ガン、抗ガン剤治療と充分にロンと共に闘ってやったという自負がある。出来る限りの事はした。積極的治療策の無い今、してやれる事は苦しみのない間は精一杯の介護、そして苦痛に喘ぐような時が来たら介錯をしてやる事だけだ。

 それにしても、ロンの生命力の強靱さには驚嘆させられる。「カッ、カッ、グゥ~……」という心臓発作と呼吸不全を起こして唸り、痙攣して意識を失った時は、別離の時が来たと思った。しかし、スポーツ用酸素缶での酸素吸入30秒で戻ってきた。その後には、生牛肉と鶏ささみの水煮を自力咀嚼で食べてのけた。そう言えばシャーも強かったなぁ。

 動物達の哀しいまでの生命への、生きる事への執着心には感心させられる。いや、生への執着心と言うよりも、生への闘争心と言い換えよう。自分が天に帰る時を迎えたら、彼らの様に毅然と立ち向かい、そして完爾としてそれを受け入れる事が出来るだろうか。

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YASU ・居眠釣四郎・眠釣
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釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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