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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 池波正太郎先生の作品に 「剣客商売」 という時代小説があるんだが、テレビドラマになり、舞台でも演じられ、さいとう・たかを先生の手によって劇画化もされているので、ご存知の方も多かろう。主人公は老剣客の秋山小兵衛。ストーリーは小兵衛五十代後半からスタートし、六十代半ばまでの活躍が綴られているのだが、この秋山小兵衛がカッコイイのなんのって、もうね、全国中高年の理想像と言っても過言ではないです。

 まず、べらぼうに強い。無外流剣術の達人で、老人ながらもあまりの強さに、半分は天狗様だとか、剣術の神様とか言われている。そして頭脳明晰で沈着冷静ながら、時に烈火の如く怒り、感情を爆発させる激しさと厳しさをも持つ。人情に厚く、世情に通じており、物腰柔らかで人望高く、洒脱でグルメ。これで大金持ちで権力にも通じていれば完璧なのだが、そう、まさしく大金持ちであり、時の老中・田沼意次とも懇意で、息子の大二郎が意次の妾腹の娘と結婚して縁続きにもなる。そこに持ってきて気っ風の良さと、権力をかさに着ない清々しさ。もうね、理想のシルバー世代像ですよ。最愛の妻を早くに亡くしたり、友人や弟子や知人を殺されたり、期待していた弟子に裏切られたり、我が家に放火されて全焼したりという、人生の悲哀も背負ってはいるけれど。

 こんだけ揃えてもまだ足りないってンで、池波先生は凄い幸せを小兵衛に与えている。なんと、後妻に娶った女房のおはるは19歳。おまけにだ、後に息子の大二郎の妻となる佐々木三冬(田沼意次の妾腹)も、19歳で登場した当初は小兵衛に憧れ、恋心を寄せているってンだよ。もうね、ウルトラマンも仮面ライダーもスーパー戦隊も敵わない、ヒーロー中のヒーローですよ。3分間以上戦えるでしょ、生身の人間でしょ、一人でも悪人をやっつけちゃうでしょ、正体を隠さなくてもいいでしょ、家族や友達や仲間はたくさんいるでしょ、ついでに孫までできちゃうんだから。人としての幸せが、全て小兵衛には揃っているんだな。

 こんなに恵まれているんだから、剣客らしく悲劇的な最期を迎えちゃうのかと思いきや、「兎と熊」という物語で、なんと96歳まで生きて、医者(二代目村岡道歩=内田久太郎)の腕の中で最期を看取られるってンだから、参っちゃうね。どこまで幸せなんだよ、ってお話です。

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プロフィール
HN:
YASU ・居眠釣四郎・眠釣
性別:
男性
自己紹介:
釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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