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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 お昼前に、一般病棟に移ったアビに面会してきた。目を覚ましていたが、「アビ~」と声を掛けても知らん顔。こちらの顔を見るでもなく、ただ不機嫌そうに佇んでいた。「アビ、辛かったかい? ごめんよ。でも、アビの為だから……」と言い訳がましい事を言うと、「ニャァ」と一声鳴いた。

 「あたしゃァね、お腹を縦一文字にカッさばかれて、臓腑を引き出された上に、肝腎要の腎の臓を一つ、摘み取られたからって、それを恨んじゃいませんよ。娘盛りの時分にも、不妊手術で子宮と卵巣を摘ってンだから。それも全部あたしの為だってなぁ、納得も得心もしてンです。ただね、なにやらブスブスと管ぁ刺し込まれて、おまけに犬の臭いまでする牢屋みたいなトコに、押し込めにされてンのが気に入らないってンですよ。YASUの旦那ァ、早いトコこっから出しておくんなさいヨォ。でなきゃ、あたしゃ、旦那の事を心底恨んじまうよ!」

 遠い異国に生まれた先祖の血を引き、異相の美丈夫ながら、葛飾生まれの葛飾育ち、チャキチャキの江戸っ猫のアビが、ニャァの一鳴きに込めた想念は、千斤の重みを含みたる啖呵として、飼い主をして、その身と心を震わせるに足るものであった。(柴田錬三郎調)

 ともあれ、明日の夕刻に退院。お迎えに行かねばならないが、手術で入院した19日、名古屋は58年ぶりの大雪に見舞われた。で、退院予定の明日の午後はと言うと、また大雪の予報。アビの恨み節が雪となったか……。

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HN:
YASU ・居眠釣四郎・眠釣
性別:
男性
自己紹介:
釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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