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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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元気な頃のシャー 地域猫だったシャーが永久(とわ)の旅に出て今日で丸4年。猫白血病に倒れ、各種の合併症を発症して虫の息で倒れていたのを発見し、我が家で保護して動物病院に連れて行ったりと手を尽くしたのだが、介護の甲斐無く、最期は自分と家内が看取り、八事霊園で弔ってやった。今でもシャーの事は忘れられない。元気な頃は毎日、「遊びに来たよ~、なんか喰わして~!」 と、裏庭の窓から我が家を覗き込んでいたものだ。今は亡き愛猫のアビが唯一、心許した猫でもある。野良猫ながら分を弁え、アビには腰を低くしていた可愛いヤツだった。

 そんなシャーを偲び、シャーの旅立った時刻11:45に、遊佐未森さんの「クロ」を聴きながらとっときのプレミアムシガー、ダビドフ Special R に火を点けた。うまい。火を点けてから前半の香気、中盤のこく、後半の芳醇さと、味わいの変化が楽しめるのは葉巻ならではだ。ダビドフをふかしている40分間、思索に耽るのにもってこい。思い煩わせている厄介事、悩み事までもが思索の素材となる。もちろんお仕事のアイデアも湧いてくる。


 それもこれも、紙巻きタバコにはないダビドフの馥郁たる薫りのおかげ。こんな贅沢な時間を過ごすのも、時には必要だ。ゆったりとした気分でベランダの椅子に掛けて、シャーが出入りしていた裏庭の門扉を眺めながら、「シャーよ、そっちの居心地はどうだえ? ロンとアビとブッチもそっちに行ったけど、仲良くやってるか? もう、生まれ変わってしまっているのなら、遠慮なく遊びにおいで。あ、いや、生まれ変わっていなくても、夢の中でも良いから遊びに来なさいよ」、などと心の内で語りかけていたら、シャーの忘れ形見のウナがやって来た。ハハハ、そうかそうか。シャーよ、自分の娘を名代に寄越したか。わかったよ。ウナに何か美味しいモノを食べさせて、オマエの回向としようかね。

 吸いかけのダビドフをシガー専用灰皿に起き、手に付いたヤニ臭さを消すために無香料の石鹸で良く手を洗ってから、猫缶をウナに。シャーの旅立った日と同じく、浅い春の風が咲き誇るビオラの花を揺らし、ダビドフから立ち上る馥郁たる薫りの紫煙を天に巻き上げていった。

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YASU ・居眠釣四郎・眠釣
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男性
自己紹介:
釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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