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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 愛犬ロンの亡骸を名古屋市立八事霊園斎場へ。今日は友引。斎場は休館日なので、人影もなく空いていた。管理棟で動物火葬の手続き(犬2200円)を済ませ、死亡動物の保冷庫にロンの亡骸を入れた段ボール箱を納める。高齢による腰椎障害で下半身不随、ガンの肺転移による苦悶から救うため、全てを背負う覚悟で尊厳死を選んだ自分。なればこそ、友引の今日をロンの壮行の日とした。保冷庫のドアを閉める時、一昨年の春にシャーを送り出した時の事を思いだした。あの時は涙がこぼれ落ちた。しかし、今日は違う。なんだか頭の芯がシーンと冷えた様な、悲しみと喪失感と虚脱感が入り交じった不思議な感覚。自分なりの最善を尽くし、ロンを天に帰したのだから涙がこぼれてこないのだろうか。



 昨夜はどうしても眠る事ができず、夜通しで「ロ~ン、散歩に行くぞ」「ロン、オシッコしてこよう」「ロン、ごはんだよ」「ロン、ほれ、オヤツ。オヤツあげるからおいで」「ロン、お手。はい、お代わり。よーし、良くできた」など、寝息ひとつたてずに眠っているロンに語りかけていた。Led Zeppelin の Stairway to heaven をギターで弾いてやったりもした。堪えきれない切なさ、悲しみが胸にわだかまっていた。一緒にいるのが当たり前。そう思っていたロンが、天に帰ってしまった。簡易のエンバーミングで保冷剤を全身に当て、冷たく硬くなったロンを撫でながら、ロンとの日々を思い浮かべていた。我が家に来たその日の事、散歩の途中で拾い食いをして叱った事、血尿に驚いて動物病院に運んだ事、この2年ほどで5回も手術を受けながら闘病生活を勝ち抜いてきた事、そして、ついに勝つ事のできない病に冒されてしまった事。

 天から降り注ぐ雨に木々が洗われ、緑が匂い立つ八事霊園斎場で、ロンに別れの語りかけ。
「ロンよ、おまえの14年6ヶ月14日の生涯に悔いはあるか? おまえの主となって約3年。俺は精一杯の愛情を注いできたつもりだ。痛みと苦しみに喘ぎ始めたおまえに尊厳死を与えたのも俺だ。ロンよ、残した悔いあらばこの我が身に託せよ」

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YASU ・居眠釣四郎・眠釣
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男性
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釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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