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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 母の手術が無事に終わり、心の底から安堵。実は正月明け頃から、腰椎すべり症で歩けなくなり、車椅子生活をしていたのだが、1月26日に個室ベッドの空きが出来て入院。今日、ようやく手術となった次第。母はまだ70代前半で、高齢というほどではないのだが、今までに甲状腺腫瘍、子宮ガン、乳ガン、リンパ腫と、そこいら中を切り刻んできているし、麻酔によるボケの心配もあったンですよ。

 午後1時過ぎに手術室に入り、午後4時に手術終了。第四腰椎と第五腰椎が潰れて変形していたのを、自分の骨の一部を削り出して補綴し、ボルトで固定して整復という手術なんだが、一昔前だったら大手術だった。しかも麻酔から覚めると痛みと不快感に呻き続ける、ってな案配で、ただでさえワガママな母の事なので、「こりゃぁ、当分はウダウダ文句言うだろうなぁ」 と覚悟していたんだが、麻酔から覚めた直後の母との会話……。

 眠釣 「お~い、手術終わったよ。気分はどうだえ?」

 母親 「ほへぇ~、終わったァ? 何が終わった?」

 眠釣 「母者の腰の手術が終わった。成功だって」

 母親 「ふぅ~ん。なんで切った?」

 眠釣 「腰椎すべり症で、車椅子生活だったでしょうに」

 母親 「誰が?」

 眠釣 「母者が」

 母親 「鼻が痒い……」

 眠釣 「ここかえ?」(酸素マスクをずらしてカキカキ)

 母親 「ん、よし。もうええ」

 眠釣 「痛くないかえ?」

 母親 「尻が痒い」

 眠釣 「痒いトコじゃない。痛いトコはないか、って聞いてる」

 母親 「ない。全~然、痛くない。尻が痒い」

 眠釣 「わかった、わかった。ほれ、孫の手を差し込んであげるから」

 母親 「ん、そこ。あ~、痒い」

 執刀した先生の話によると、手術は大成功。手術時間も予定より1時間も短く済んだ。レントゲン写真を見せてもらったが、手術前とは大違いで、キレイに腰骨が伸びている。2週間後には退院し、また自分の足で歩ける様になるとの事。半年もすれば大好きな海外旅行もOKだって。医療技術の進歩は本当にスゴイね。

 一番心配していた麻酔によるボケなんだが、2時間後には意識もハッキリとし、会話も成立。

 母親 「眠釣よ。おまえ、仕事は?」

 眠釣 「心配無用、済ませてきた」

 母親 「水は明日まで飲めないんだっけ?」

 眠釣 「口をすすぐだけなら、看護士さんに頼めるけど?」

 母親 「いかん。我慢できん。絶対に飲んでしまうわ」

 眠釣 「じゃ、辛抱しなされ」

 母親 「そうする。でも、腹が減った……」

 眠釣 「はぁ? 明日のお昼、経過が良ければお粥が出るって」

 母親 「お昼まで我慢か~」

 眠釣 「てか、麻酔が切れても痛くないのかね?」

 母親 「全然。あぁ、鼻と尻が痒い」

 眠釣 「鼻と尻の話じゃねーッ! 腰の手術の痛みだってばよ!」

 なんともまぁ、腰骨を削ってボルトを入れる手術をした、70歳過ぎの婆さんとは思えない剽軽で暢気な会話。一緒に付き添っていた我が父も呆れ返ってましたよ、ってお話でした。

 ん? マザコン野郎だって? いいよ、別に。腹を痛めて産んでくれた母親が、手術の影響でボケる事もなく、また自分の足で歩ける様になったんだもの。嬉しいに決まってるじゃないか。

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HN:
YASU ・居眠釣四郎・眠釣
性別:
男性
自己紹介:
釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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