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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 人は痛かったり、苦しかったりすると、「ぎゃーっ」ってな悲鳴や、「うぐぐ……」ってな苦鳴を上げるんだが、関節が可動域の限界に達すると、人体はスゴイ音をたてる、ってェのを久しぶりに体験した。

 朝、入院中の母親の様子を見に病院に立ち寄り、その後にムニャムニャのお稽古に。倉庫の脇に段違い平行棒の様な感じで高鉄棒が設置してあった。それを見ているうちに、若い頃にやっていた "技" を試してみたくなった。うんしょこうんしょこと鉄棒の支柱を登ってみる。オホホ~、なんだか童心に戻った気分。てか、白髪混じりのゴマ塩頭した50歳近いオッサンが、高鉄棒の上でニタニタしているってのは、相当に怪しい。てか、アブナイ(笑)。

 鉄棒に腰掛けて深呼吸。若い頃は余裕でできた、「猿飛の術」から「飯縄落とし」をやってみようってワケです。もちろん、着地点(落下点)になる場所には、半分に折ったマット2枚を敷き、実質4枚重ねにしてあります。直撃落下したら痛いからね。「これ、今でもできたらスゴイよなぁ。ウケるぞ~!」 なぁんてコトを考えていたんだが、この "今でもできたら"って時点で、イイ歳なんだから失敗する、って前提に気付いていたはず。ところがオツムのネジが3回転ほど弛んでいるオッサンは、成功した自分の姿を思い浮かべて、妄想に酔い痴れているわけです。

 鉄棒に腰掛けたまま後方へ身体を倒し、膝裏を支点として半回転。よし、次の下鉄棒に手を伸ばして……、ソレッ! 豚革の革手袋もしっかりとグリップ。猿飛の術成功! ここから蹴上がりで上体を起こし、飛行機跳びの体勢に。小学生のやる飛行機跳びと違い、大きく身体を振って屈伸の後方宙返りをしながら着地する、飯縄落としのはずだったのだが……。

 体重が増えていて、身体を振り出すまで、鉄棒をしっかりと握っていられなかった。あぁ、この技が出来た頃の、自分の体重は54~56kgだったよ。今は65kgと10kgも重くなっている。それに年齢も倍だ……。筋力や柔軟性も半減とは言わないが、相当落ちている。振り出しの運動エネルギーが不足したまま空中に飛び出してしまい、回転不足のまま落下。幸い、昔取った杵柄で頭から落下するのは防いだし、身体を捻って手と肩口で受け身を取ったんだが、空中に残った肩胛骨から下の脊椎から腰椎が、一個一個スゴイ音をたてて鳴った。
 「ゴキゴキゴキキ、バキバキ、ゴキャッ! グチチ、グキッ、ゴキン!」

 ――、死んだ。イイ歳こいたオッサンが、鉄棒から落ちて死んだ。今日の夕刊と夜のTVニュースで、全国に恥をさらすんだ。「余命一年の花嫁」 ならぬ、「汚名末代のオッサン」 だよ。あぁ、痛みさえも感じない。きっと脊椎の太い神経が切れてしまったんだ。もうじき、呼吸も止まってしまうのだろう……。嫁よ、スマン。苦労を掛けた上に、大恥までかかせちまう事になった。許しとくれ……、と合掌。

 って、アレ? 手、動くジャン。恐る恐る立ち上がってみると、ドコも痛くないし、むしろ身体が軽い。ジワ~っと背中全体や首、肩、手足の指先が温かい。なんで??? なんと、落下の衝撃で、今まで歪んでいた背骨がキレイに並び、血行が良くなったらしい(笑)。不幸中の幸いってか、神様仏様のご加護に深く感謝しちゃいましたよ、ってお話でした。

 こんなの健康法でもなんでもないので、よい子はマネしない様に。え? いい大人が高鉄棒に登るってシチュエーション自体が無いって? そりゃそーだ(笑)。

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YASU ・居眠釣四郎・眠釣
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釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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