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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 釣りは数あるビーチレジャー・マリンレジャーの中でも、最も歴史が古く、最も愛好者の多いレジャーである。年齢性別も関係なく遊べるという点で、海に親しむ入り口として最適なのだが、その反面、手軽であるがゆえに、安全意識の低さ、マナーの悪さが、他のレジャーに比べて突出している。釣り人として大いに恥ずべき事なのだが、いかに恥として理解せしめるか。それには自律心と公徳心を持ってもらう他にない。それも入門者、とりわけ子どものうちに教えておくべきである。さりとて、親御さん自身が水辺の危険やマナーをご存じないのだから、家庭での躾や教育は期待できない。

 昭和の頃には、どこの釣り場にも一人か二人はおっかないカミナリオヤジがいて、「おい坊主。そんな事をしたら危ないだろうが!」「他人様の迷惑になる事をしてはダメだと言うておろうが、この馬鹿者!」と、危険な事やマナー違反をした子どもたちに、お小言の一喝とお仕置きゲンコツの一撃を喰らわせて、安全意識やマナーを痛みと共に叩き込んでくれたものだ。私もドカンガツンと叩き込まれた一人である。泣いて謝ると、「わしに謝ってどうする。イイ子の方の自分に謝れ!」と諭してくれた。決して感情を激して怒っているのではなく、愛情を持って叱ってくれていたのである。人間には誰にも良い面と悪い面がある。悪い面の自分が過ちを犯したら、良い面の自分(自らの良心)に対して恥じ入り詫びるべし、と。

 子どもたちにとって、カミナリオヤジは恐くて大ッ嫌いな存在であったが、お小言の一喝を暴言とは感じなかったし、お仕置きゲンコツの一撃も暴力だとは感じていなかった。カミナリオヤジの小言には「お」を付けて「お小言」、ゲンコツの一撃も「お仕置き」と「お」を付けていたのは、"ありがたい諫め" と理解していたからである。カミナリオヤジは "愛ある嫌われ者" だった。

 しかし、今のご時世ではお小言の一喝も、お仕置きゲンコツの一撃も許されない。そんなことをしたら、たちまち「暴言と暴力だ!」と訴えられて社会的に葬り去られてしまう。"愛ある嫌われ者" が存在できない今日では、「こんな時はこんな理由で、こんなケガをするかもしれないから危ないんだよ」「こういう事をすると、他の人がこんな迷惑をするからダメだよ」と、噛んで含めるように教えていくしかない。事の分別をわきまているはずの大人でさえ、言葉による注意の効果は薄いのに、まだ社会性や理解力に乏しい子どもに、言葉だけの指導がどれほどの効果があるのか、はなはだ疑問ではある……。

-「波となぎさ」'06年12月26日発刊 170号 掲載稿より抜粋・加筆-

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YASU ・居眠釣四郎・眠釣
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釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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