甘味礼讃

　年末年始の不摂生から体脂肪率20％越え、体重68kg越えにショックを受けて始めたダイエット。糖質と脂質を控えた食事、筋トレを含めた3週間の "苦悶式ダイエット" で、体重は3kg減の65kgとベストウェイトを実現。今も体重は65kgで安定している。が、肝心の体脂肪率が22％と、ダイエット前よりも増えたまま上がりも下がりもしない。糖質と脂質は控えているし、運動も充分なのは体重の減少と、体型の変化からも明らか。なぜ体脂肪率が増えてしまうのか……？　素人がいくら考えても詮無き事なのだが、どうにも腑に落ちない。まぁ、22％という数値は正常値（むしろ健康値）でもあるし、増加しているわけでもないので、あまり気にする事もないのかもしれない。年齢的にもそろそろだしね。



　そこへ雪祭り見物に北海道へ旅行していた母が、北海道土産に生キャラメルを三箱買ってきてくれた。 「コレが美味しいんだよ。一緒に食べようと思って買ってきた。紅茶をいれておくれ」 と、満面に笑みを浮かべながら家内に渡された以上、相伴せぬわけにはいかない。ダイエット継続中なんだけどなぁ。とは言え、母の土産にこもる思いはありがたい。「一粒だけ……」 と口にしたのだが、これが失敗だった。久しく甘いものを口にしていなかっただけに、甘みに飢えていたせいか、もう歯止めが効かなくなった。「こりゃぁ、うまい。噛まずとも溶けて消えていく。鼻からでも喰えるわ」 と、たちまちに四粒五粒と口に放り込んでしまった。ふと気が付くとすでに一箱が空。やってしまった。こうなった以上は仕方がない。とことん甘味を楽しまねば損だ。

　二箱目に手を掛けた家内に、「ちょっと待て。考えるところがあるから、俺に任せろ」と、板チョコとホワイトチョコ、クルミ、スライスアーモンドをスーパーに買いに行かせた。ステンレスの小さなボウルにクッキングシートを敷き、生キャラメルを並べて湯煎にかけて溶かし、砕いたクルミを加えて練り直す。クッキングシートごとアルミのバットに移し、粗熱を取って冷蔵庫で小一時間冷やし固める。その間に、今度は板チョコとホワイトチョコを別々に湯煎に掛けて溶かし、まな板に敷いたクッキングシートの上で板チョコには生クリームを少し混ぜて練り、ミルクチョコレートに仕立て直しておく。ホワイトチョコは薄い板状にして冷蔵庫で固めておく。冷え固まったクルミ入りの生キャラメルにホワイトチョコを載せて、その上にまだ軟らかいミルクチョコレートを掛け回したら、再度冷蔵庫へ。

　待たされている間中、母は 「せっかくの生キャラメルなのに、余計な事をしてダメになったらもったいない……」 と超～不機嫌。同じく不満顔の家内にも、「まぁまぁ、以前から考えていた事だから、試させておくれよ」 となだめつつ、時を待つ事30分。

　できましたよ、豪華版のスニッカーズが。お湯で温めた薄刃のケーキナイフで切り分け、スライスアーモンドを載せて、小皿に盛りつけて完成。待ちくたびれてふくれっ面の母と家内に 「お待たせ。まぁ、そう不機嫌な顔をせずに食べてみておくれよ」 と、熱い紅茶と共に差し出した。

　「うわっ、何コレ！　超～うまい！！」　←家内

　「あら～、これは美味しい。本当に美味しいわ」　←母

　ふっふっふ、若き頃、ケーキ屋でバイトしていた自分にとって、有りモノの材料で作り直すスィーツくらい、お手の物なのだよ。と、鼻高々で自分も口に運んでみたのだが、これがまた、実にウマイ。我田引水、自画自賛、手前味噌と言われようが、美味くて美味くて身を揉むほどにウマイのだから仕方がない。

　明日はバレンタインデー。この豪華版スニッカーズを贈れば、本命の殿方の心も甘くとろけさせてしまう事、請け合いです。すでに付き合っているなら、彼氏の自宅で作って差し上げるのが良うございましょう。



　明日から再び、苦悶式ダイエットに励まねば……。あ、今日は13日の金曜日だった！