講釈

　この週末に、とある講習会の講師を務める事になっていて、先月からコツコツと講義内容を煮詰めているんだが、テキストに沿った内容で進めるのは当然の事ながら、受講者のレベルがさっぱりわからん。まぁ、わからんならわからんなりに、基本ラインを押さえた内容にすれば無難に終わらせる事は可能なんだが、「講義を聴いていなくても、テキストを読んでおけば充分じゃね？」 なんて思われたんじゃ、安からぬお金を払って受講してくれる受講生のみなさんに申し訳がない。やはり 「眠釣センセのお話は面白いね。ツボを押さえてくれてるから、記憶に残る。ほんに役立つわ。ありがたいこっちゃ」 ってな講義じゃなくっちゃならないと思うわけですよ。



　自分は直系ではないのだが、ご先祖様に朱子学者がいる。知る人ぞ知る儒者でね、その名を冠した小学校と中学校も現存しているくらいなんだが、名前が売れる以前の三十代の頃には、江戸の両国橋のたもとで辻講釈なんかしていたらしい。この辻講釈が非常に評判が良く、これがきっかけで米沢上杉家、尾張徳川家、紀州徳川家、奥州白河松平家、などに賓師　（＝お殿様の家庭教師） として招かれているし、その影響は明治の元老・西郷隆盛にまで及んじゃってるってンだからスゴイね。まぁ、自分の母方の祖母の実家の本家の、それも280年も前の先祖の次男坊だった方なので、ご先祖様と呼ぶよりも、古い遠戚とか係累と言った方が良いか。自分がその本家を訪れたのは35年ほど前の法事の席で、その当時でさえ誰がどんな筋の親戚なのやらさっぱりわからない状態だったのだが、ともあれ、薄いとは言えども同じ血が流れているには違いない。

　で、名探偵コナンじゃないが、「じっちゃん（古い遠戚）の名にかけて」、良い講義をせにゃならんと、思い極めている次第。自分のコマの50分間は長いようで短いなぁ。質疑応答の時間を設けると、実質40分ってところか……。板書内容を減らして、メモを取る時間を少なくすればいいか。その代わり、テキストにアンダーラインを引き、欄外に書き込むように指示すれば、テキストがそのままサブノートになるね。板書の書き取りよりも受講生の負担が少なくて済むし、帰宅後におさらいする時も面倒が無くて良いだろう。

　う～む、人に物事を教え伝えるというのは、なまなかな事じゃありませんな、というお話でした。