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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 と、言っても釣り竿の事ではなく、殺陣の練習に使っていた日本刀(もちろん真剣ではない居合練習刀)。 20年以上前に浅草で買い求めた中古品だが、とても良い柄(つか)が付けられていて、手にしっくりとなじんでくれるお気に入りの一振り。時代劇の戯曲を書くため久々に引っ張り出してみたが、抜いてみるだけではどうもピンとこない。居合練習刀とはいえ、街中の公園で振り回すわけにはいかない(間違いなく警察に通報されちゃうだろうし、警察もただでは済ませてくれない)ので、知多半島の雑木林まで出掛けて戦陣殺陣の稽古をしてきた。

 戦陣殺陣とは、戦国時代の合戦で足軽や徒士組(かちぐみ=騎馬ではない斬込隊)の闘いを想定した殺陣。抜刀したら刀を肩に担ぐように構え、"斬る" というよりも "叩き斬る" 、"突く" と言うよりも "ブッ刺す" といった感じで、真っ向から斬り下げるとか、抜き胴で斬るといった華麗な動きはない。主に狙うのは兜や鎧で守られている頭や胴といった部位ではなく、現代の剣道では絶対に狙わない(打っても有効打突にならない)首筋、脇、腰、股間、太股といった具足に守られていない部分。おまけに一撃目を外されたら肩から体当たりをブチかまし、斬撃を刀で受け止められたら足を絡めて押し倒し、取っ組み合いはもちろん、蹴り、肘打ち、噛み付きといった技も含まれる。簡単に言えば、まったく無様でえげつない。正直、人に見られたら恥ずかしいくらい格好悪いのだが、命のやりとりをしているリアルな迫力はある。

 雑木林の中とはいえ、通報されないよう背中に『剣技練習中』と極太マジックで書いたペラペラのナイロンベストを陣羽織のように羽織り、立木に向かって型の稽古してたのだが、段々とその気になってきてしまい、ついうっかり打ち込んでしまった。ビキッ! と刀身のものうち部分が木の幹に食い込む音。「あッ! しまった〜」と慌てて刀身をあらためてみると……。刀身にヒビが入り、おまけに刀の腰が伸びて(刀の反りが伸びて)しまって鞘に収まらないという即廃刀の特大ダメージ。・゚・(ノД`)・゚・。  これでは稽古にも使えやしないので、急いで古道具屋を駆け回った。新品の居合練習刀は安くても二万円くらいはするので、殺陣の練習にはもったいなくて使えない。

 ところがどこの古道具屋に行っても、鑑賞用か樋入り(刀身に溝が彫ってあり、ヘタクソな抜きで多少刃筋がブレていてもピゥッと刃音が出る)ばかりでダメ。3軒目でようやく見つけたけれど、まったく手入れがされておらず、柄紐はすり切れ、刀身には錆が浮いたボロボロ状態。それでも殺陣の練習には使えるだろうと、値切りに値切って3Kで購入(それでも高いと思う)。早速、家に帰って浮き錆びを落として目釘、鍔、切羽、柄をお気に入りのモノに取り替えて振り具合をチェック。 刀身は汚いが鍔のガタつきもなく、柄もキチンと収まった。キズがあっても稽古に問題はない。鞘のデザインが気に入らないが、殺陣の型稽古用だから良し。いざ刀袋に入れて出掛け……って、日が暮れちゃってるじゃんかッ! 結局、殺陣の稽古や執筆はできず、刀を探してきて使えるようにメンテするだけで貴重な日曜日が終わってしまった。刀を折った上に、自分の心も折れた。バカさ加減に吐き気がするよ……。

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プロフィール
HN:
YASU ・居眠釣四郎・眠釣
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男性
自己紹介:
釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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