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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 昨夜から今日にかけて、まさに「ラプソディー」と言える大騒ぎとなった。深夜、愛猫のアビがグッタリとして餌も水も摂らない。立ち上がりはしても、ヨロヨロと腰が定まらず、すぐにへたり込んでしまう。動物病院に連絡を取ろうにも、すでに深夜0時過ぎ。動物病院で検査を受けて半日と経っていないのに、急に衰弱するとは。頭の芯がシーンと冷え込み、痺れるような感覚の中で、「落ち着け。なにが原因なのか考え、最善の手立てを考えるんだ……」と家内と自分自身に言い聞かせる。アビの身体をよく観察してみる。目の瞬膜は出ていない。口内にただれはない。腹部も膨張している様子はない。耳……、真っ赤だ! 身体が熱い! 簡易のカード式猫用サーモセンサーを当ててみる。発熱状態! 症状をよく考えてみると、熱中症に似ている。しかし、今は真冬。午後からのアビの行動を判る範囲で思い出してみる。ホットカーペットの上の毛布にもぐり込んで寝ていた! ほとんど出てくる事もなかったようだ。

 午前1時。ソルラクト(乳酸リンゲル液)を50ccほど点滴してみる。アビは慢性腎不全で、毎日自宅で150ccの皮下輸液(点滴)をしているので、道具も薬液も揃っている。薬液をバッグごと湯煎して人肌程度に温めてアビに注入。針を刺されても力無く「ンァ……」と鳴くだけ。かなりつらそうだ。「がんばれアビ。まだ逝くな。5月には二十歳のお祝いをしてやるから」。半ベソ状態で点滴を済ませ、家内がアビを抱いてベッドに入ったが、アビはグッタリと力無く身体を横たえ、ピクリともしない。アビは家内に任せ、抱えている年末最終に向けた仕事を進めながらも、どうにも気が落ち着かない。

 午前2時。アビが耳をピクピクさせ、目を開いたと、家内が知らせに来た。「どうした? 少し楽になったか?」と声を掛けると、「ン~ニャロ、ンゴロンゴロ……」。おぉ、喉が鳴らせるようになった。餌の猫缶を少し与えてみると、「ムシャムシャ。ウルルン、ン~ミャ~」と完食。皮下輸液による水分補給で悪寒が消え、元気を取り戻したようだ。よ……、よかった……。おかしな表現だが、腰が抜けそうなほど安心した。

 午前6時。「ウニャァーン! ナオー、ニャゴーン!」の鳴き声。こちとら正味3時間も寝ていないのに、当のアビは昨夜の事など知らぬが如し。「朝ゴハーン。朝ゴハンを食べさせてーッ!」の大騒ぎ。はぁ、この大騒ぎが聞けてよかった。アビはすっかり元気を取り戻した。

 午前11時。家内の運転免許書き換え手続きを済ませ、膀胱腫瘍の摘出手術で動物病院に入院中のロンに面会。術後経過は良好。自分で餌を食べ、水も飲めるようになったので、今日から点滴を外したそうだ。ロンがケージの際まで寄ってきて差し出した指先を舐め、匂いを嗅ぎ、「旦那~、女将さ~ん。迎えに来てくれなすったんで? へぇ、あっしゃァいつでも帰るつもりでいやすから、早く出してくれるよう、お医者に頼んでおくんなさいよ~」と言っているようだ。予定通り29日に退院できそうだから、あと二日だけ我慢しな、ロン。

 正午。帰宅してアビの様子を見る。昨夜の事など無かったかの様に元気。不安と安堵の入り交じった、なんとも騒々しく、慌ただしい年の瀬の12時間だった……。

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YASU ・居眠釣四郎・眠釣
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男性
自己紹介:
釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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