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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 古代史の資料をあたっていると、ヴィア・ゴードン・チャイルド(1892~1957)というオーストラリアの考古学研究者の名前が度々出てくる。1925年に32歳で『ヨーロッパ文明の黎明』という研究書で学会に登場した人なんだが、Wikipediaで調べてみてもチャイルド先生についての記載がない。ネットでの情報には限界がありそうなので、図書館や古本屋を回って手当たり次第に調べてみた。田中琢著、集英社版『日本の歴史2-倭人争乱-』にチャイルド先生が紹介されていた。高名な学者にありがちな偏屈な研究者ではなく、思想的にはバリバリのマルキスト(共産主義者)で、オーストラリア労働党員として論文まで発表している。そんでもってさらに、共産主義者にありがちな権利と権益のゴリ押しや独善的傾向さえも捨て去った、純粋な研究者だった。つか、生粋のマルキストってなこうなんだろうな。



 で、1956年にロンドン大学を退職したチャイルド先生の遺書なんだが、一読して魂消た。尋常ならざる覚悟が綴られ、そして現在の日本が置かれている状況を予見したかの如き内容なのだよ。

「医学の進歩により、利子生活者や年金生活者、その他の退職者たちを社会が扶養し、看護もせねばならぬ。社会はこれらの寄生生活者の重荷に喘いでいる。彼らは若者たちを搾取する。若者たちは彼らに代わって働き、彼らの世話をする事をも求められているのだ」
「(搾取者にならず、現役として働くと)若くてもっと有能な後輩の進む道を塞いでしまう」
「65歳を超えると肉体的に衰え、精神的な敏捷さや順応性は(肉体的衰えよりも)はるかに衰える。新鮮な着想が生み出せるかどうかも疑わしい」
「老齢者が知識や経験、技能を世に役立たせると称して、学術団体や公共機関、慈善施設、政党などの名誉役員や相談役に就くのは老人支配になりがちである。それこそ考えられる最悪の指導形態である」

などなどの老害を警告し、

「私は権威を振りかざして進歩を阻害するような、古色蒼然とした相談役として、学会や大学研究機関にしがみついていたいとは思わない」
「社会の重荷をならないうちに生を終えようと、ずっと考えてきた」
「幸福で丈夫なうちに生を終えることが最善なのだ」

 1957年、故郷オーストラリアに戻ったチャイルド先生、遺書に記した通り、65歳で300mの断崖から身を投げて生を終えた。自らの考えるところに従い、ご自身の身を処したチャイルド先生は立派……だと思うが、ただ単に意固地なだけだったような気がしないでもない。

 自分も「元気で短命」が望みなのだが、自らの信念に従って生き、死ぬるという自信はないなぁ。

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YASU ・居眠釣四郎・眠釣
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釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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