釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
毎年、秋の恒例行事として講師を務めている一泊二日の「初心者親子釣り教室」。今年はゲストにスカパー「釣りビジョン」リポーター太田原久乃ちゃん(写真前列中央)と、報知新聞投げキス第36期名人位の伊達浩憲氏(写真前列左)をお迎えした。正統派の釣りオヤジたる自分は、この御両名と同席するにあたり、まばゆさを感じ……とは言わぬまでも、憧れのまなざしを注いでしまう。久乃ちゃんはキュートで可愛らしく、伊達名人は気さくに話をしてくれて、打ち解けた雰囲気で初日を終えた。その夜は当然、大宴……とは行かない。なぜなら、この釣り教室は、主催:愛知県教育サービスセンター、主管:愛知県美浜少年自然の家、後援:愛知県教育委員会という、"教育事業の一環"として開催されているから。当然、講師陣も館内では禁酒禁煙。宴会など、とんでもない話というワケ。それでも、深夜まであれやこれやと話も弾み、楽しい一夜となった。(もっとも、自分は体質的に一滴の酒も飲めないので、酒宴であろうがなかろうが、全然気にならずに盛り上がれてしまう、お得な人である)
さて、一夜明けて早朝5時30分の朝マヅメ。本日の実釣タイムのスタート。久乃ちゃんも釣り支度を整えて海辺に立っていた。彼女の投げ釣り師匠は、JOFI愛知副代表の大田氏。釣りビジョンで放映された「渥美半島のシロギス釣り」で基本はバッチリ大田氏に仕込まれている。キャスティングも基本に忠実なフォームで正面4色付近に投入。「ホォ〜、タレントさんにしちゃなかなかのモンだ。さすが大田さん仕込み!」と眺めていたが、誘いのバリエーションが必要な状況になっても、引き出しの少なさで対応できていない。
「久乃ちゃ〜ん、リールを巻くのではなく、竿を動かしてゆっくり誘ってみよう」
とレクチャーを開始。
「は〜い、こうですかぁ?」
「そうそう、それでアタリが来てもアワセずに、もう一匹釣れるように同じスピードで誘い続けよう」
「あの、竿が後ろまできちゃいそうですけど……」
「竿と道糸は直角を基準に、75度〜120度くらいを保ち、糸フケを出さないようリールを巻きつつ、竿を前に出して」
「はい。でも、なんでその角度なんですか?」
「"テコの原理" だよ。魚のくわえた仕掛けが力点、竿先が支点、そして手元が作用点。作用点に最大の力が伝わる角度は90度って、力学の授業で習ったでしょ?」
「え〜! 力学ですかぁ?」
「そうよ。釣りは力学、地学、生物学、果ては天文学にまでつながるんだから」
「???」
「釣りのポイント探しは地学、魚の食性は生物学、潮の干満は月の影響で起きるんだから天文学だもの」
「うひゃー、すごい。釣りって奥深いですね〜」
ってな話をしつつ、いささか自分の鼻が高く、鼻の下は伸びかけてきた時、
「あっ、今度はずいぶん手応えが……」
「そう? じゃ、取り込んでみよっか」
ピン級ながら、シロギスがゾロゾロ付いてる……、って6本針仕掛けに6尾付いてるじゃんッ!
「やったー! パーフェクトですよ、パーフェクト!! YASUさん、ありがとうございます」
ま……、マジかよ?! フィッシングリポーターとはいえ、本業はタレントさん。投げ釣り歴はまだ4、5回目のビギナーだぜ。朝マヅメの好時合、魚影の濃い好釣り場だけど、パーフェクトの6点掛けはそう簡単に出来る事じゃない。脱帽っつーか、これが一般人とタレントの運の違いってヤツだと思った。
今度は伊達名人のキャストを見学。ん……、竿を振る風切り音が違う。「ヒュッ!」もしくは「ビッ!」で、派手な「ビュワッ!」とか「ドシュッ!」じゃない。着水点を目で追うが、着水点が見えない! 当然、着水音も聞こえない。さすがチャンプ……。フォームは豪快にして華麗、さしたる力も入れていないのに、着水点ははるか彼方。何よりも釣り姿が様になっている。ラインに伝わる海底の変化と、シロギスからの魚信(アタリ)に神経を集中し、臨機応変に誘いを掛け、哲学者の思索姿もかくや、と思わせる風情。それでいて威風堂々、まさに王者の貫禄。カッコエエ……。これがただの釣りオヤジとチャンプの違いってヤツだ。
久乃ちゃんにしても、伊達名人にしても、やはり身に纏う(まとう)オーラが違う。つか、そもそも自分には、オーラさえ出ちゃいないわ……。今回の講師陣の寄せ書き色紙(おこがましくもオイラも名を連ねてる)は、一生モンの宝だ。
PR