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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 海辺に親しみ、海遊びを楽しむ市民は少数派になりつつある……のか。

 釣りインストラクターとして、愛知県教育サービスセンターが主催し、一泊二日で行われる小学生家族を対象とした「親子初心者釣り教室」に講師として参加しているが、受講者に話を聞くと、親子共々、釣りや潮干狩りなどの海遊びをあまり経験していない。曰く、「身近な海は汚染されており、そんな所で釣った魚や、獲れた貝など恐ろしくて食べられない。スーパーや鮮魚店で買った魚介類なら、ある程度は安全性が保証されているから、買ってきて食べる方が安心だ」「釣りや潮干狩りを教えてくれる人もいない。だから海では遊ばない(遊べない?)」と言う。

 本来、「遊び」にコーチやマニュアルは必要ないはず。子ども達が遊び仲間から遊び仲間へと、遊び方、ルール、マナーを伝えていくものだった。公認釣りインストラクターにしても、釣りマナーやモラルの啓発、釣り文化の継承、水辺の環境保護などが主な活動である。決して魚をたくさん釣る方法や、釣り道具や仕掛け作りを教える為の資格ではない。

 人々が安心して遊び、海の恵みを享受できる海に浄化・再生するには、汚水処理場だけではなく、干潟や藻場が必要不可欠。そもそも、自然破壊という負の行為のツケを払っているのが現状ではないか。自然環境をまったく人間の手で操作しようなどというのは、烏滸の沙汰(おこのさた=分際をわきまえぬ行為)というものであろう。人工で干潟や藻場を作ったとしても、最終的には微生物や海藻の繁茂という、自然の力を借りて再生させねばどうにもならない。

 話を元に戻そう。干潟や藻場は魚達の餌場であり、産卵場所でもある。かつては『死の海』とも呼ばれた工業地帯付近の海でも、各種規制や汚染防止技術と相まって、干潟の再生、藻場の育成によって水質が改善され、魚類の生息数も増えてきている。大都市や工業都市からでも、1時間も車を走らせれば、そこは豊穣の海になりつつある。

 国も地方自治体も、経済活動と利便性に偏った開発の時代から、自然環境や景観にも配慮した快適空間の創造の時代へと舵を切ったという。研究・施策・施工ほか、関係各位の努力が開花し、結実の時を迎える事を大いに期待したい。

-「月刊港湾」'06年2月号掲載稿に加筆修正-

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YASU ・居眠釣四郎・眠釣
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