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釣り、ペット、短編小説、雑記、紙誌掲載原稿
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 お子さんにねだられて、新しくペットを迎え入れる方も多い様で、ペット購入に関する質問メールもたくさんいただいている。まず、ペットを飼う前に覚悟しておくべきは、
ペットを飼う事=そのペットの生涯に責任を負う事
可愛いだけじゃない。粗相もすれば、イタズラもするし、病気、ケガだってする。オモチャじゃないんだから、病気なったから、ケガをしたから買い換える、とか、交換する、なんて事はできない。ペットの飼育費用はエサ代、設備費(犬小屋やケージや鳥かごや水槽など)、医療費までを含めた生涯費用で考えれば、10年で7ケタにもなるから、軽い気持ちで飼い始めると、とんでもない出費に目が飛び出る事になる。そして、医療技術・設備・スタッフの充実した動物病院を見つけておくことも必要。

 一番気を付けて欲しいのは、ペットショップの店員の言う事を鵜呑みにしない事! ペットショップの店員は、獣医でもトレーナーでもない。ただの商売人で、しかもバイトだったりする。要は「売れればそれで万々歳。売れなきゃ困る生体販売」な商売がペットショップ。だから、購入前に、ペットショップが良心的かどうかの判断が必要になる。販売展示されている動物たちの飼育環境だけでは判断しきれない部分もある。本当に誠実なペットショップかどうかを判断するための質問をぶつけてみるといい。
 「動物病院で健康診断をしてもらうのは、いつ頃がいいかね?」
 合格=「できるだけ早く、すぐにでも!」
 悪質=「新しい環境に慣れてからの方がいいです……」

不誠実なペットショップは、病気や障害を抱えているのに売ったのがバレるのを遅らせたいから、健康診断をスグに受けさせたくない。ペットショップで販売されている動物でも、フィラリア、ジステンパー、猫エイズ、猫白血病、パルボなど致命的な病気を抱えてる可能性もあるし、先天的な病気を抱えている場合もある。お迎えしてから時間が経てば経つほど、「そりゃ、お客さんの飼育が悪いから罹患したんですよ」と、すっとぼけられやすくなる。それに時間が経てば経つほど "情が移る" から、病気の動物だからこそ返せなくなる。つか、それがショップ側の狙いなワケ。それと、「飼いやすいし、手もあまり掛かりませんよ」というセリフは要注意。飼いやすいと言われているフェレットでも、適正気温は15~25度。特に暑さには弱い動物で、27度以上になると熱中症で死亡する。犬でも北方系のシベリアンハスキーやシュナウザーは熱中症でダウンする。つまり、日本の夏はエアコン無しでは生きられないという事。夏場は24時間エアコンを入れッ放しにしておく事になる。飼い主は地球に優しくなれないし、それ以上に、夏場は電気代が万単位になるのを承知の上でないと、絶対に飼ってはいけない。

 ペットをお迎えしたら、その足で動物病院に行って健康診断。一般的な体重測定・胸部聴診・腹部やリンパ節の触診・目の光反射・聴覚判定・検便による寄生虫検査・血液検査までやって、我が家がお願いしている動物病院では犬・猫・フェレットで5千円くらい。各種ワクチンが3~5千円。つまり、お迎え時の初期医療費用で1万円は必要になってくる。ワクチン接種は動物保険(初年度2~3万円・毎年2万円チョイくらい)に加入して、ワクチン特約(3千円程度)を付けておけば、毎年のフィラリア予防薬とワクチン接種費用として5千円が給付されるので、ワクチン特約を付けておいた方がお得。動物保険は病気やケガの治療費の半額が給付される。以上は動物保険のアニコムの場合。

 犬や猫で12~15年、フェレットで6~8年が平均的な寿命。ケアがしっかりしていれば、犬や猫は18~20年は生きる。ペット達は生涯を懸けて、飼い主に癒しと喜びを与え続けてくれる忠実な家臣。精一杯の愛情を持って報いてやりましょう。

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 高等学校の必修科目未履修やら、イジメ問題の隠蔽、地方自治体や官庁の裏金・横領・横流し、自動車メーカー・家電メーカー・ガス器具メーカーのリコール隠しや責任逃れ、ソフトバンクモバイルの番号ポータビリティにおけるシステム障害を、「Docomoとauのシステム障害が原因」とソフトバンクモバイルがウソ告知でユーザーを騙した事など、不始末の責任問題を「手前の口を拭って、尻拭いを他人に押しつける」ってな不祥事が続いている。つまり、ハラを切らずにシラを切って責任逃れに走るわけだ。

 事が社内や身内だけの問題なら、それもありだろう。しかしなぁ、国民生活にダイレクトに影響を及ぼす不始末は、キッチリと責任を取るべきだ。その責任の取り方も、辞任・辞職という事で済ませる例がほとんどだが、不始末で辞めるのに退職金はキッチリ頂戴するって連中ばかり。それは違うだろう。懲戒免職にならずとも、不始末を詫びての辞職なら、規定に則って退職金が支給されたとしても、自主的に返納してこそ「腹を切った」事になる。

 「天網恢々疎にして漏らさず」って諺があるが、その天網に引っ掛かっているのに、天網の中でジタバタと見苦しい足掻きをする教育関係者、企業のトップ、自治体や官庁のお偉方には "潔さ(いさぎよさ)" ってものが微塵も無い。そもそも、あれだけ国の指導に対して抵抗を見せる日教組の先生方も、必修単位未履修隠しを粛々と、かつ主導的にやっていたってんだから、笑い話にもならない。

 北朝鮮の核&ミサイル、中韓の反日運動と挑発、露の共同開発事業での裏切り、そして国内では内部腐敗と、21世紀の日本はまさしく内憂外患の状態ですなぁ。フリーランスの自分は不始末を起こさぬまでも、期日遅れや企画プランや作品のクオリティが下がれば即アウト。ハラを切る暇も与えらず打ち首だ。寄り掛かる大樹が無いだけに、いずれは野垂れ死にする身の自分が、国の行く末を憂えるなど、烏滸がましいにも程があるか……。

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 今日は愛知県犬山市で「戦国武将物語」という、甲冑武者行列のお祭りが開催されてた……んだけど……、見てこられなかった……orz

 犬山まで行っていながら、お祭り見物はオアズケ。11月3日に開催される「親子ふれあい釣り教室」の事前講習会で講師をやってきた。竿先のリリアンと道糸のつなぎ方、サルカンと釣糸のつなぎ方、そして安全講習人形劇の独演。いや~、疲れた。会場が和室だったので、座り机を3段積み上げて演台に仕立て、やっとこどっこいでこなしてきた。

しかしまぁ、驚かされちゃったのが、子どもが和室の作法を知らない事! 平気で襖の敷居を踏む、畳の縁もブシブシ踏む、はしゃぎ狂って畳の上で飛び跳ねる。
 「コラー! 畳のお部屋には畳のお部屋のお作法があるんだぞ!
  敷居と畳の縁は踏んじゃダメだ。敷居が歪んだり、すり減ったり
  すると襖の開け閉てが出来なくなる。畳の縁は畳表を留めてある
  大事な部分だから、すり減ると畳の傷みが速くなる。
  それと、畳は藁をギュッとまとめて出来ているし、芯に発泡スチ
  ロールを入れた畳もあるから、ドタバタ跳ねたらブカブカに緩む。
  畳の上で暴れてイイのは、武道場の畳だけ!
  日本人なら日本のお作法を覚えて起きなさい。わかった?!」
と、釣りとは全然関係ない世話まで焼いちまったィ。

 マンション住まいで和室がないから……って話も出たけど、それは言い訳になってない。親も知らねーんだよ、和室のお作法を。知ってるなら、他人の自分が注意をする前に、親が注意(しつけ)をするべきだ。新人類と言われた世代の自分でさえも知っている、平安時代から連綿と受け継がれてきた、日本の良き常識『お作法』が、団塊ジュニア世代の親御さんとその子どもさん世代で、フッツリと途切れている。こりゃぁ、しっかりとした結び方でつながないと、日本の伝統が消え去ってしまう。戦国武将物語だの、火縄銃の実演だので日本の伝統や歴史を見せるよりも先に、和室のお作法を教えてやれ!

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 「お父さん、また釣り~? たまには家族でどっか行こうよォ」。そんな家族の怨嗟の声が聞こえて来そうな秋の行楽シーズン。釣りと家族を秤に掛けりゃ、釣りが重たい釣りバカ人生。しかし、そんな本音はおくびにも出せるはずがない。ならば、家族ぐるみで誘ってしまえ、という知能犯釣りオヤジには浜名湖ドライブ釣行をお勧めする。

 ドライブ釣行と銘打った以上、ご家族には山・川・湖・海と景色の変化を楽しませ、名所旧跡も訪ねつつ、こちらは釣りも楽しもうというのだから、綿密な作戦計画が必要だ。夜明け前に出発し、東名高速で三ヶ日まで高速ドライブ。続いて浜名湖レイクサイドウェイで湖岸の山中を走り抜け、江戸時代の遺構を今に伝える新居関所に立ち寄り、名物のウナギや十割ソバに舌鼓を打つ観光プラン。その裏側には、表浜で雄大な太平洋での投げ釣り、新居海釣り公園でチョイ投げ、女河浦護岸でサヨリ釣りという釣行プランを仕込んでおく。荘厳な日の出、山中の空気漂う秋の気配、太平洋の雄大さ、そして自分で釣った魚にご家族も上機嫌。これでしばらくは、大手を振って釣りに行ける……はず?

-海悠出版「磯・投げ情報」'05年12月号掲載稿に加筆修正-

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 第○管区海上保安本部巡視艇の艦上。海上保安官は備え付けの双眼鏡で前方の防波堤を見やった。数人の釣り人が竿を出しているのが見える。拡声器のマイクをつかんだ。
 「この防波堤は立入禁止です。速やかに釣り行為をやめて退去してください」
防波堤上の釣り人たちが忌々しそうな表情で巡視艇をにらんだ。
 「死ぬのは俺等なんだから、放っといてくれりゃいいのに」
 「海は誰のモンでもねぇのによぉ」
悪罵を吐きながら釣り道具を片付け、そそくさと引き上げていった。

 この防波堤は過去、数十人の釣り人が命を落とし、あるいは消息を絶っていた。単純な転落事故もあるが、そのほとんどは不意の高波に飲まれ、海に叩き込まれる悲惨なものだった。高波の恐ろしさは、波に襲われるまで気付かないということだ。音もなく、静かに海面がせり上がり防波堤を越えてくる。「ドッ!」という波の砕ける音が聞こえた時には、もう遅い。波の高さは一定ではない。天気予報などで報じられる波の高さは『有義波高』と言い、10分間に押し寄せた波の高い順に三分の一を抽出し、その平均の高さを表した数字であり、あくまでも波の高さの目安にしか過ぎない。打ち寄せる波の百回に一回は1.5倍、千回に一回は2倍の高さの波が来ると言われている。波の力は想像以上に強い。ひざ下にも届かない程度の波でも、防波堤上に這い上がってくる波の力は人間程度の物体なら簡単にさらっていく。外洋に突き出した防波堤や海峡部の防波堤は、超大型の消波ブロックさえも押し流されるほどの潮流が流れている。落水して沖合に流されるのはマシな方だ。沖合に流されるのなら、ライフジャケットを正しく着用していれば、救助される可能性もある。しかし、大型消波ブロックの隙間に押し込まれた場合は絶望的だ。押し寄せる波の力で奥へ、奥へと押し込まれていく。テトラに付いた牡蛎や貝に皮膚を裂かれ、波の圧力によって肉が潰され、骨が砕かれていく。ゆっくりと、緩急を付け、被災者の苦悶を楽しむが如く……。地獄の責めでさえも、ここまで残酷にして苛烈ではないだろう。海上保安官は以前に回収した遺体を思い出し、喉の奥に苦酸っぱいものがこみ上げるのを感じた。

 世界各国の主要貿易港では、テロ対策として立ち入りが禁じられている。爆破テロや火災事故が起きたら被害は甚大だ。故に立ち入りを厳重に禁じているのだ。また、水産資源の保護や種苗幼魚の育成、野鳥の飛来地など自然環境の保護目的で、立ち入りが禁止されている場所もある。いずれの立ち入り禁止区域も、高いフェンスを張り巡らせ、有刺鉄線や忍び返しを設置して侵入を防いではいる。しかし、釣り人たちは大型ニッパーでフェンスやゲートの鍵を破壊し、あるいは、はしごを掛けて立ち入り規制区域に入り込む。そしてそれを武勇伝として自慢する者もいる。危険を冒してまで釣行し「俺はこんなにも釣りに打ち込んでいるぞ」とナルシスティックなヒロイズムに酔う。珍走団(=暴走族)が反社会的行為をして喜んでいるように。

 今日も、事の分別をわきまえているはずの大人が、どこかの立ち入り禁止区域で竿を出している……。

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sayorin-01 工房浦安のSSIIというアイテムを使用した、従来のサヨリ釣りのまったりイメージを一変させるアクティブな釣法が "表層誘い釣り(浦安釣法)" です。「(魚のいる)潮目まで飛ばし、誘って食わせ、アタリをとって釣る」という、釣り本来の面白さが味わえます。SSIIには2つの使用法があり、アクティブな攻めの釣りを楽しみたければ表層誘い釣り、ノンビリと楽しむならウキ流し釣りと、釣り人の好みやその日の状況に合わせて、SSII一つで多様な攻略法が組み立てられます。

 表層誘い釣りはSSIIを投入したら竿先を下げ、ルアー釣りのようにカゴウキのテンションを感じながら、ユックリと道糸を巻き取り続けます。アタリは竿先にダイレクトに出ます。道糸を巻き取り続けているため、アタリを感じても特にアワセを入れる必要はありません。スッと竿先を引くか、リールを巻くスピードを速める程度で充分です。食いの良いときは、竿先がギュンギュンと引き込まれ、「これがサヨリのアタリか!」と驚かされます。表層誘い釣りのコツは、竿と道糸が一直線にならないようにすることと、道糸をたるませないこと。竿先と道糸が90~120度になるように構え、常にカゴの重さ(テンション)を感じながらリールのハンドルを巻き続けます。道糸がたるんでいると、アタリがとれないので注意してください。

sayorin-02 ウキ流し釣りはSSIIのテンビンアームをカゴの下にセットして使用します。ヨリ糸部分に流線型中通しウキの小を付けた、誘い流し釣りスタイルです。投入後、SSIIとアタリウキが一直線になるように道糸を巻き取り、潮の流れに乗せます。低水温期や澄み潮時などにも有効です。流し釣りとは言え、時々軽く竿先をあおってコマセを振り出したり、誘いを掛けます。置き竿にする場合も、道糸を張り気味にしておけば竿先にアタリが出ます。また、表層誘い釣りの様に、仕掛けを引いて誘う釣りも可能です。

 身近な防波堤や港湾の岸壁でのサヨリ釣りを前提に、推奨タックルを紹介します。竿は磯竿1.5~2号4.5~5.3m、または万能防波堤竿4.5~5.3m。投げ竿を流用する場合は15~20号負荷の軟らかめで4mくらいのもの。リールは小型スピニングリール。道糸にPE1.5号またはナイロン3号を150m程巻き、先糸としてフロロカーボン4号を10mほどつないでください。カゴは磯竿1.5~2号・防波堤万能竿ならSSIIの2S。磯竿3号や投げ竿の場合は4Sを使用します。仕掛けはナイロン3~4号の二本ヨリのヨリ糸に、ハリス0.8~1.2号を1~1.5mを直結。ハリはキス針7号、かわせみ針社製狐針3号など。ヨリ糸を作ったり、ハリを結ぶのが面倒なら、3号ハリス2mに市販のハリス付きサヨリ針3.5号を直結してください。従来のサヨリ釣りでは考えられないほどの長い仕掛けですが、SSIIは仕掛け絡みを徹底的に軽減したアイテムですから、仕掛け絡みでイライラすることはほとんどないでしょう。

 コマセはアミコマセにパン粉を加え、イワシ粉末を少々混ぜます。パン粉はアミコマセを解凍すると出てくるドリップを吸着し、投入時にコマセのシャワーが降り注いでくるのを防いでくれます。また、コマセの増量効果もあります。イワシ粉末は集魚力を高めてくれますが、混ぜすぎるとベタついてコマセの出が悪くなるので注意。付けエサはジャリメ(イシゴカイ)、ハンペンのストロー抜き、オキアミや粒アミなど。ジャリメは投入時に外れてしまう心配が無く、ポイントが遠い場合なども安心して遠投できます。ハンペンのストロー抜きを使用する場合は、ラップをかけずに一晩寝かせ、少し乾燥させてやるとエサ持ちが良くなります。オキアミや粒アミは、砂糖をたっぷりと振りかけて一晩寝かせると適度に締まって使いやすくなります。

 エサ付けにも釣果を伸ばすコツがあります。まず、ハリの軸に対してまっすぐ、深く通し刺しにしてハリスまでコキ上げ、ハリのチモトを完全に隠してください。エサ付けの要領は「赤ちゃんに靴下を履かせる」ような感じです。そしてハリのミミをエサの内側からチョイと突き出して引っ掛けます。これでエサのズリ落ちが防げます。ジャリメエサの場合は、深く通し刺しにしてあるので、タラシは1cm弱で充分です。タラシが長いとエサの先をしゃぶられるだけで、かえって釣果が落ちてしまいます。

 サヨリは潮目に集まります。従って潮がぶつかり合い、潮目のできる防波堤の先端や曲がり角が好ポイントとなります。潮目にはエサとなるプランクトンやコマセが溜まり、サヨリも寄ってくるからです。潮目には目に見える潮目と、SSIIを引いてくると重たく感じる「見えない潮目」があります。シロギスやカレイの投げ釣りで、海底のヨブ(段差)が好ポイントであるように、サヨリ釣りではこの見えない潮目も好ポイントとなります。釣果を伸ばすためには、潮目を探り出すことが肝心。目に見える潮目が見つからないときは、SSIIのコマセカゴにティッシュを詰めてフルキャストし、潮目を探ることから始めましょう。なぜティッシュを詰めて投げるのか? 初手からフルキャストで沖目にコマセを撒いてしまっては、サヨリが沖に出ていってしまうからです。また、SSIIはコマセを詰めた状態でバランス設計されているため、コマセ代わりにティッシュを詰めておかないと、投入時の飛行安定性が落ち、仕掛け絡みの原因になります。ティッシュはカゴに内蔵されているオモリの上になるように詰めること。コマセを使用する場合も、カゴが空になったら必ず補充してください。

sayorin-03 食い気のある群れが回遊している時は、コマセを使わずともバンバンとサヨリは食ってきます。こんな群れに出くわしたらコマセは使わず、カゴにティッシュを詰めたまま手返しよく釣り上げましょう。食いが遠のいたらコマセを使います。潮さえ流れていれば充分な釣果を得られます。釣り場も自分も汚れないし、手返しも早いので、釣り開始の数投はカゴにティッシュを詰めたままやってみてください。大きな声では言えませんが、潮上に大量のコマセを撒いている釣り人がいる場合もコマセは不要です。

 応用釣法として、SSIIカゴウキフォームにワイヤーハリスのタチウオ仕掛けを結んでタチウオの引き釣り、ヨリ糸にハリス5号1mを結んだ弓角やワーム仕掛けでハマチやカンパチも狙えます。ハネ、セイゴ狙いならハリス2号1mに丸セイゴ15号、アオイソメ餌。夜釣りの場合はウィングを外して、ぎょぎょライト3Lをワンタッチ装着できます。秋から春にかけては、海水浴場などのサーフでヒラメ狙いも楽しめます。ハリス3号1mに3~5gほどのトラウト用スプーンを結んで波打ち際まで丹念に探ってください。

 遠投性に優れたSSIIなら、従来仕掛けでは届かなかった沖目のポイントまで仕掛けを飛ばすことも可能です。SSIIという1個のアイテムで、様々な釣りが楽しめます。

-海悠出版「磯・投げ情報」'03年2月号サヨリ特集掲載稿に加筆修正-
※仕掛図は工房浦安より画像使用許可済み。無断転載を禁じます。

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 タイ、ヒラメ、尻尾の黄色い回遊魚、イカの王様アオリイカ。陸っぱり釣り人の勲章とも言える、憧れの釣魚だ。釣趣はもちろん、食味の良さもすこぶる付きの高級魚だけに、ボウズ覚悟の釣りと言われても、足繁く釣り場に通う釣り人も多い。特にアオリイカは身切れ、足切れで取り込み直前に逃げられて口惜しい思いをさせてくれる難敵だ。アオリイカには活き餌での泳がせ釣り、ヤエン釣り、和製ルアーの餌木を使ったエギングと三通りの釣法がある。最もアタリが多い代わりに、取り込み率の低いのがヤエン釣り。有名な村田満氏をして、「ウァ~、また逃げよった。ほんまに難儀な釣りやで!」と言わしめている釣りである。この難儀な釣りにも関わらず、「イカがアジを抱いてさえくれれば、十中八九取り込んで見せまっせ。最近の取り込み率は10割!」と豪語するのが、釣り針メーカーかわせみ針の吉田社長。迷わず弟子入りして、ヤエン円月釣法の直伝をお願いした。

円月釣法 そのヤエン円月釣法とは、投入からアタリを待つまでは従来のヤエン釣りと同じ。餌のアジをしっかりと抱き、食い気に目が眩んで、少々の違和感を感じてもアジを放さなくなるまで待つ。ドラグを鳴らす走りが止まり、ソ~ッと竿先を上げてテンションを掛けても動かなくなったら、ドラグを中間位置まで締めて、ヤエン投入にベストの角度が取れる距離まで寄せる。そしてヤエン投入。使用するヤエンはかわせみ針製のフルステ100。ここからが従来のヤエン釣法とは趣を別にする。ヤエン投入時に肩に担いでいた竿を手に持ち、リールのドラグを締め込み、いったん竿を海面と並行に寝かせてから、眠狂四郎の円月殺法よろしく、大きくゆっくりと半円を描くように竿を立ててヤエンを送り込む。次の瞬間、竿先がギュンと絞り込まれ、ヤエンの針が刺さったアオリイカが怒りの逃走を開始。すかさず「グィ~ン!」とアワセを入れた吉田社長が、「堪えられませんな~ァ」とニヤリと笑みを浮かべる。200年の時を超え、愛刀の無想正宗をメガドライAIR 0.8号5.3mに持ち替えた、眠狂四郎がそこにいた。

 さて、アオリイカ釣りの第二関門がこのヤリトリ。良型になればなるほど、自重とパワーで身切れしやすい。恥じらう乙女を抱き寄せるが如く、優しくゆっくりと抵抗をいなすべし。美しい弧を描いてメガドライAIR 0.8号5.3mがしなる。20m程先の海面にボワッと墨が広がった。我が事のように大昂奮で鼻の穴をふくらませてイカギャフを用意しようとすると、吉田社長に制止された。「完全に引き寄せるまでギャフを用意したらあきません。こっちの殺気が伝わったら、あちらさんも必死に抵抗します。まぁ、ゆっくりとヤリトリを見ときなさい」と余裕シャクシャク。海面に何度もブシューッと水飛沫が上がる。強烈な走りで抵抗を続けたアオリイカもついに岸壁下まで引き寄せられた。ここが第三関門で取り込み直前のバラシも多い。イカギャフを素早く打ち込む。海面と平行に持ち上げようとするとイカがギャフから外れてしまうので、海面と垂直にスルスルとタモの柄を畳んで取り込み成功。ヤリトリを見守っていたギャラリーから称賛の歓声が上がる。華麗なまでの釣技で仕留めたアオリイカは胴長36cm。「1杯だけではまぐれやと言われてしまうから、もう1杯釣りましょか」。

吉田社長アオリ釣果 30分後、再び吉田社長の竿にアタリ。今度のアオリイカはアジを抱くやいなや、85mも道糸を引き出した。「今度のイカはずいぶんと足の長い、ジャジャ馬のおてんばやね」と苦笑。あまり走られると、ヤエンの投入可能距離に寄せるまでの間に逃げられる可能性が高まる。「いや~、この寄せの時はなんぼ経験しても足が震えますわ」と言いながらも、アジを抱いただけのアオリイカを引き寄せる、ヤエン釣り最大の醍醐味を楽しみながら、ゆっくり慎重にヤエン投入距離まで寄せると、ヒョイと竿を肩に担ぎ、道糸を取ってヤエン投入。1杯目を釣り上げた時の再現フィルムを見ているかのような、完成された吉田流ヤエン円月釣法で取り込まれた2杯目は胴長30cm。微笑を浮かべて「取り込み率10割は、口先だけじゃおまへんやろ?」と語る吉田社長の言葉には、自社製品と自らの釣技への揺るぎない自信が感じられた。

 翌日は小雨の降り続く一日だったが、早朝からアオリイカフリークで釣り場はほぼ満員。前日と同じ場所に釣り座を構えたのだが、意に反してこの日はなかなかアタリが来ない。「これは我慢の釣りになるな」と持久戦を覚悟した午前9時過ぎ。吉田社長の出していた2本竿に同時にアタリが出た。二つのリールがジィ~とドラグを鳴らす。慌てることなく左側の竿を手に取り「右側の竿はアジが大きめ。しばらく放っておいても大丈夫」と吉田社長。悠々と本日1杯目アオリイカを引き寄せ、慣れた手つきでスッとヤエンを投入。必死の逃亡を図るアオリイカも、吉田社長の手練手管のヤリトリにあえなく御用。続いてもう一本の竿に取りかかる。このアオリイカは寄せの段階で海面まで浮いてきた。「ありゃー、これはいかん。ヤエンを送る角度が浅いがな」。それでもヤエンを送り込まねば絶対に釣れない。竿を頭上にかざし、さらに背伸びをしてヤエンを送る。ヤエンが届いた頃合いを見計らってテンションを掛けたまま竿をいったん横に寝かせ、円月釣法アワセ。見事に乗った。海面におびただしい墨を吐き出しながら引き寄せられるアオリイカ。2杯目も岸壁に身を横たえた。計測すると2杯とも胴長30cm。アオリイカはボウズ覚悟の釣り、その中でもヤエン釣りは最も非効率な釣りだと思っていた自分には、目から鱗どころか瓦が落ちるような思いだった。

YASUアオリ釣果 実を言うと、自分もアオリイカ釣りは好きだが、ヤエン釣りはヒット数に比べて取り込み率が著しく低く、ストレスが溜まるばかりなので、2度ほど経験してサッサとやめてしまった釣法。釣り情報誌の記事だけを頼りに、我流でやっていたのだから取り込み率が低いのも、当然と言えば当然なのだが……。それ以来、アオリイカは活き餌での泳がせ釣りか、エギングで狙っていた。それが吉田社長に弟子入りして、餌付けの手際、送り込み、寄せ、アワセ、やりとりまでをみっちりと仕込んでいただいてから、ヤエン釣りへの苦手意識はすっかり無くなった。今では「ヤエン釣りは得意!」と言っても良いほど、取り込み率もアップしたし、何よりも、イカがアジを抱いて走り、ヤエンの投入可能距離まで引き寄せる、という今まで最も苦手としていたプロセスを、ワクワクしながら楽しめるようになった。師匠の釣法を "ヤエン円月釣法" と名付けたのも自分だ。あれほど苦手だった(と言うか、あまりの取り込み率の悪さに毛嫌いしていた)ヤエン釣りに自信が持てた。我流のヤエン釣りで四苦八苦した挙げ句、行き詰まりを感じて投げ出してしまった自分だから言えるのだが、やはり、その道の巧釣手から2泊3日、朝から晩までじっくりと直伝を受け、奥義を授かると釣格(=釣技の格)が上がりますぞ。

【吉田社長の使用タックル】
ロッド:ダイワ メガドライAIR 0.8号5.3m
リール:シマノ ナビ4000L
ライン:ゴーセン アオリイカ フロロスペシャル1.75号
ヤエン:かわせみ針 フルステ100(M)

【YASUの使用タックル】
ロッド:ダイワ ブレイゾンマルチ 1.5号5.2m
リール:シマノ BB-X EV3000 アオリイカ
ライン:ゴーセン アオリイカ フロロスペシャル1.75号
ヤエン:かわせみ針 フルステ100(M)

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 海は人の心に開放感をもたらし、世代や性別を超えて交流を促してくれる。なぜか? 海辺では波の音、潮風でボソボソと話していたのでは会話が成立しづらい。いつもよりも大きな声で、ハッキリと話をしなければならない。いきおい、表情も豊かになり、相手の感情や想いが読み取りやすくなるからだろう。これは都会の騒音のように、不快な音の中での大声と違って、潮騒や潮風は爽快感を伴っているからこそ。しかし、心開いただけではシャイな現代人には足りない。会話のきっかけとなるツールが必要なのだ。そのツールとして、年齢、性別、体力の有無を問わず、多額の初期投資の必要もなく、誰もが楽しめる水辺のレジャーとして、釣りは最適なのだ。

 大型駐車場やトイレを設置し、安全設備や救難設備を整え、飲食店やコンビニエンスショップなどの商業施設を誘致し、各種のイベントを開催して人を集めても、そこに人々の交流がなければ、真の里浜とは言えないだろう。喜びや楽しさを共有し、笑顔で人との出会いを楽しむ場の創造を推進して欲しい。そして「海辺のマナー」を広く教え伝えていくべきだろう。

 海辺のマナーを教えるにしても、「アレはいけない、コレはこうせよ」と強制しても効果はない。これは現状を見てみればわかるだろう。マスコミや広報や学校教育を通じて、自然保護や環境美化を声高に叫んできても、このありさまなのだ。しかし、法律やルールで規制されなくても、学校で教育しなくても、人々が粛々とマナーを守っている場所がある。神社・仏閣・教会・墓地の敷地内だ。たとえ酒に酔っていたとしても、神社で立小便をする人はいない。くわえ煙草で仏殿やお墓参りをする人もいないし、教会の庭にゴミをポイ捨てする人もいない。聖域だから神罰仏罰が下るなどと、本気で信じている人はいないだろう。では、なぜ? 人として恥ずべき行為であると、誰もが認識しているからに他ならない。

 法や条例による規制や指導も必要だが、罰則を設けて従わせるのではなく、自らの行為に責任を負う心(公徳心・自律の精神)を育成する必要があるだろう。「釣り場清掃にご協力くださ~い!」と呼び掛けても反応は薄く、時には反発さえ招きかねないが、ゴミ袋を手渡しながら「帰り際に身の回りのゴミだけ拾ってってね」と一人一人に話し掛けると、ほとんどの人が釣り場清掃に協力してくれる。協力を要請されると負担に感じるが、自分の分だけ片付けて欲しいと頼まれるのならば負担には感じない。個別に語りかけられたという心理的な効果も大きい。これとは逆に、千葉県浦安市のある岸壁では、有志の釣り人たちが、一般の釣り人に協力を求める事もなく、ゴミを放置する人を見かけても咎めることなく、黙々と無言でゴミ拾いを続けた。数ヶ月後、その釣り場にゴミを放置する人はいなくなり、海辺はきれいに片付いたという事例もある。手法は正反対であるが、どちらの試みも人々の公徳心に直接訴え掛けている。一時的に人手と手間は掛かるが、数十年を掛けても成果の上がらない呼び掛けや看板設置よりも、はるかに効果的で即効性がある事を実証していると言えよう。

 釣り、海水浴、潮干狩り、各種のマリンスポーツを楽しむ人々が集い、憩い、笑顔で語らう海辺。そこに集う人々が自らの手で、自らの判断で、安全を心掛け、互いに心地よく過ごせる雰囲気を醸成できるようにしたいものだ。行政や管理者による規制、自然保護や環境美化に関する呼び掛けを必要としない日が必ず来ると私は信じている。

-「波となぎさ」'05年8月31日発刊 164号 掲載稿より抜粋・加筆-

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 10月22日、愛知県常滑市りんくう町の中部国際空港前島釣り護岸にて、JOFI愛知主催「水辺感謝の日-釣り場清掃&釣り大会-」が開催された。今年も幹事を仰せつかり、常滑商工会議所と常滑市生活環境課に指定ゴミ袋の提供、収集ゴミの回収を依頼し、事前の手配を手抜かりなく済ませておいた。チョット見はきれいな釣り護岸も、42人の参加者と前島釣り護岸に来ていた釣り人有志で清掃を開始すると、人目に付かぬ物陰や階段下などから、出てくるわ、出てくるわ。中型ゴミ袋44袋の空き缶、ペットボトル、コンビニ弁当の空容器、カップ麺の容器、釣具屋の袋、配合餌の空き袋、ルアーや餌木のパッケージ、捨てられたハリ付きの仕掛け、折れた竿、壊れたリール、……etc。とにかく、釣り護岸に捨てられているゴミなのだから、犯人は釣り人に決まっている。参っちゃったのが、物陰にティッシュと共に鎮座ましましていた "ウ●チ"。犬や猫のフンじゃないよ。明らかに、お尻を拭いた後のティッシュまで一緒にあるんだから、間違いなく人間のモノ。少し離れているが、そんなに遠くない場所にトイレがあるんだけどなぁ。ゴミだけじゃなく、人としての尊厳まで捨ててる

 みんなで集めてきたゴミを集積場所で、可燃ゴミと不燃ゴミに分別。これがまた、腐敗した弁当の食べ残し、配合餌、コマセの凄まじい悪臭に辟易とさせられる。「何が悲しゅうて、こんな事をせにゃならんのか……」と、悲しくなってくるよ、マジで。釣り場清掃のたびに思うのだが、釣り場の清掃なんて、台風等の天災による漂着物の回収を除けば、本来は不必要な作業。同じ趣味を持つ不心得者の尻拭い(本当に尻を拭ったティッシュの後始末まで)をしているワケで、釣り場清掃活動が必要になるなんてェのは、釣り人の民度の低さをテメェ達で証明してるようなもんだ。ニコニコ笑顔で、「いい汗流したゼ!」なんて言ってられる、脳天気な活動じゃない。むしろ、釣り人として恥じるべき活動。

 全国の釣りファンは1200万人と言われているが、仮に月1回のペースで釣行して、そのたびに20gのゴミを釣り場にポイ捨てしてきたとしよう。年間で出るゴミの総量は、
 
20g×12,000,000人×1回×12ヶ月=2,880,000,000g=2,880t

2,880トンって、想像も付かない膨大な量のゴミですよ。迷惑なんてレベルを突き抜けて、これはもう、災害だってば。たったの20g(5号オモリに2本針仕掛けを付けた程度)でも、全国の釣り人が月イチで捨てるとこんな量になる。「チョットくらいのゴミだから……」ってポイ捨てしないで、チョットくらいだからこそ、お家に持ち帰りましょうや。

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 梅雨時の雨もやっかいだが、秋の雨に濡れたときの不快感、寒さは梅雨時のジメジメベタベタに匹敵する。皮肉なことに、梅雨時や秋雨の頃が年間を通じて最も多彩な魚種が釣れる時期。そんな好シーズンに、雨だからといって指をくわえている手はない。雨の日でも釣行したくなるような、快適かつ機能的なレインウェアを探してみよう。

 パラパラと降る小雨程度なら、撥水性に富んだウィンドブレーカーやパーカーでも事足りるが、一日中降り続くような雨となるとパンツ付きのレインスーツが必要だ。釣りは竿を振ったり、屈み込んだりと様々な動きをするだけに、ゆったりとした作りのウェアを選ぼう。ただし、大きすぎると風でバタついたり、キャスティングや竿さばきの支障となる。袖や腰回りにアジャスターの付いた製品がおすすめだ。

 釣り人にうれしいアイデア機能を採用した製品もある。デクーン社製エントラントGⅡレインジャケットは袖口にネオプレーンを採用し、竿を握る手から伝ってくる雨をシャットアウトしてくれる。ヤマハ製クルクルレインスーツは、首を左右に振るとフード部分が一緒に回り、視界を妨げないクルクルフードを採用している。袖部分にもバタ付きを防ぐアジャストタブを採用するなど、オートバイツーリング用の製品だが、釣りにもありがたい機能が満載だ。

 防水性、機能性に加えて快適性も考慮しておきたい。気温は高くなくても身体は汗の蒸気を放出する。ご同輩諸兄もウェアの裏側がびっしょり濡れて不快だったという経験があるだろう。デュポンのゴアテックス、東レのエントラント、ヤマハのサイバーテックスなど透湿防水素材を使用したレインウェアなら、不快な汗蒸れを防いでくれる。ゴアテックス製はまだ3万円台と高価だが、エントラント製やサイバーテックス製はかなり値がこなれ、定価で7千円台の製品も登場してきた。透湿防水素材のレインウェアの快適さは、他の素材の追随を許さない。デザインもタウンウェアとして通用するレベルの製品が多く、バイク用品店のレーシングワールド南名古屋店の西村氏によると、春秋のウィンドブレーカー兼用で購入する人も多いそうだ。

 携帯性を考えると透湿防水素材のレインウェアは少々かさばる。不意の雨に備えるなら、小さく折り畳めて軽量なナイロン製に軍配が上がる。価格も2千円前後からそろっている。汗蒸れは避けられないが、裏地が総メッシュの製品ならベタ付きを防いでくれる。購入するならパンツの裏地にもメッシュを使用している製品を選んでおきたい。しゃがみ込んだときにパンツがまとわりついていると、お尻の部分が裂けてしまうからだ。釣具量販店の上州屋では予算に合わせて、豊富な商品ラインナップからお気に入りの一着を選べる。上州屋名古屋店の米本店長おすすめのウェアは、沖釣りや長時間の雨中釣行なら透湿防水素材ハイパーウェザークロスを採用しながら1万円以下の価格を実現したケンクラフトKRレインスーツ。不意の雨に備えるならパンツも裏メッシュのGETTレインスーツ。どちらもコストパフォーマンスに優れた製品だ。

 レインウェアといえども、使用後のメンテナンスは欠かせない。デクーン社の奥村社長に、お気に入りの一着を長く愛用するための方法を教えていただいた。透湿防水素材は海釣りで海水を被ると、塩分で蒸気を逃がす微細な孔がふさがれてしまう。使用後の水洗いが欠かせないのだが、洗濯機でガラガラ洗いは禁物。表面の撥水性が落ちる上に、肝心の防水フィルムが剥離してしまう。ぬるま湯で手洗いし、汚れのひどい部分は柔らかいスポンジでこする。コマセなどの匂いが付いてしまい、どうしても洗剤洗いが必要な場合は毛糸洗い用の中性洗剤を使用する。水切りはギュギュウと絞るのではなく、スノコなどの上に置いて押さえるように水切りをする。乾燥は直射日光を避けて陰干し。表面の撥水性が落ちてきたら、市販の防水スプレーを吹き付けてやると良いそうだ。保管方法はどんな素材のレインウェアでも、高温多湿は避けたい。防水フィルムの劣化や色褪せなど、ウェアの寿命を大きく縮めてしまう。車のトランクに入れっ放しにするのは最悪だ。使用後の手入れや保管方法で寿命が大きく変わってくるのは竿やリールと同じ。透湿防水素材製の高価なウェアほど手入れに気を遣って欲しいそうだ。

 雨の日は釣り場も空いている。お気に入りの快適レインウェアがあれば楽しい釣りを満喫できるはず。滅多に使わないレインウェアだからこそ、着用時には機能性と快適性に富んだ一着を選びたい。

-週刊TV「Hello Fishing」'02年8月29日号コラム掲載稿に加筆修正-

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釣りと動物と時代劇、時代小説をこよなく愛する、腰は低いが頭が高い、現代版「無頼浪人」にて候。
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